【インタビュー】THE FRANK VOX「近くにいる人に届かなきゃ、遠くにいる人になんて届くわけがない」

THE FRANK VOXが、初のフルアルバム『VOX LETTER』をリリースした。

“自分たちの声(VOX)を手紙(LETTER)のように想いを込めて綴り、届ける”というテーマで制作した贈り物シリーズの集大成となる本作には、日常に寄り添う温かみやほろ苦さが薫るリード曲「なんかいいこと」をはじめ、ベリーグッドマンのHiDEXをプロデューサーに迎えた壮大かつドラマティックな「ムツラボシ」(CSスポーツチャンネル「スカイA」2024年度テーマソング)、ライブ定番曲で待望の音源化となった「開幕宣言」「アワパリ」、ロック×ハイパーポップなサウンドが光る「ありのまんま」など、フラボらしい等身大のナンバーが並ぶ。

今回はそんな新作『VOX LETTER』を中心に、収録曲の聴きどころやレコーディングのエピソードなど、メンバー全員にたっぷりと話を聞いた。彼らの実直な人間性も伝われば嬉しい。

◆ ◆ ◆

◾️ホンマにいい作品ができました

──1st EP『VOX GIFT』のリリースタイミング以来のインタビューになりますけど、この半年はTHE FRANK VOXにとってどんな期間でしたか?(前回記事:)。

RYO(Vo):えー、もうそんなに経ちましたか!? 早っ!

RYO-TA(MC):ホンマやな。ライブや制作を夢中でやっていたから、一瞬だったようにも感じるけど。

YASU(Vo):振り返ってみると、何かと密度の濃い半年やったなと思いますね。

SNG(MC):SNSがついにちょいバズりしたんですよ。「車で歌ってみた動画」を定期的にアップしているんですけど、大塚愛さんの「プラネタリウム」のカバーがよかったみたいで、朝起きたらInstagramのフォロワー数がえらいことになっていたっていう。

RYO:そのときはスマホの画面をスワイプして更新するたびに、フォロワーが千単位で増える感じでびっくりしたよな。

SNG:ジャスティン・ビーバーの気持ちがわかりました(笑)。

RYO-TA:それは言いすぎやろ!

──(笑)。嬉しい反響があったんですね。

SNG:動画で僕らを知ってくれた方がライブに来てくれるようにもなって、すごく輪が広がった感覚です。

RYO-TA:過去のライブ写真と見比べてみても、お客さんの数が明らかに違うんですよ。ありがたいことにグッと増えたんやなって。

──ライブを各地でたくさんしてきたのも、動員に繋がっているんじゃないかなと思います。

YASU:そうですね。2023年はトータル100本くらいやったんちゃう?

RYO-TA:2ステージやる日もあるし、そう数えると100本はやってるかもな。

RYO:THE FRANK VOXが始動したのが2022年の10月なんですけど、合間に曲作りもやりながら、かなりいいペースでライブができている気がしますね。

──では、新作『VOX LETTER』の話も聞かせてください。THE FRANK VOXとして初のフルアルバム、出来上がってみていかがですか?

RYO-TA:(大声で)めっちゃええやーん!と思ってます。プライベートな時間は他のアーティストの曲を聴きたくなりそうなものなんですけど、普段も自然とこのアルバムをかけてまうんですよね。こんなに自分たちの曲が好きなことに驚くというか(笑)。

SNG:いやー、わかるわかる。

YASU:(大声で)めっちゃええやーん!って感じのアルバムです。

RYO-TA:被せんでええねん(笑)!

YASU:このアルバムを聴いたらTHE FRANK VOXのことがわかってもらえるような、素晴らしい曲たちが揃ったんじゃないかなと。

RYO:ホンマにいい作品ができました。ものすごくがんばったので、制作からやっと解放されたっていう気持ちも強いです(笑)。今回のアルバムは楽曲のストックがほぼない状態からのスタートだったりしたのもあって。

──そうだったんですね。

RYO:僕らは基本的にストックをあまり作らないんです。なんでかって言うと、自分たちの中で曲の鮮度が落ちてしまう感じがするから。

RYO-TA:ストックを引っぱり出してきても、なんかテンション上がらないことが多いんです。“あれ? 前ほど良くは聴こえへんな”となりがち。

RYO:「開幕宣言」「アワパリ」のようなライブでやっていた曲もアルバムには入ってるけど、アレンジを新しく変えたりしていて、生み出す作業が多かったなって思います。

SNG:なんか今回の制作を通して、壁をひとつ越えられた感じもしてるんですよ。

──壁というのはどんな?

SNG:THE FRANK VOXは2028年までに大阪城ホールでのワンマンライブを実現させることが目標やし、止まっている暇なんてないんですけど、そんな中でアルバムに向けてのインプットの期間がわりと短かったりもして、正直どうなるかなと思ってたんです。自分たちは決して器用なほうじゃないので。でも、日々の生活にちゃんと目を向けてみたら、曲のテーマが意外とめっちゃ転がってたんですよね。メンバーのリリックも“そこ見てたんや!”と感じる部分が多かった。

RYO:気づきはあったよな。

SNG:そこに気づけたのが大きいと思う。あとはアルバムを作る前なんですけど、先輩のベリーグッドマンさんの阪神甲子園球場ライブ(2023年11月18日)をメンバーで観に行けたのもよかったです。終わってすぐ4人でお好み焼き屋に行って、ちょっと言い合いをしまして(笑)。

──ライブを観た直後にメンバーで言い合い?

RYO:そうなんです。3万人規模のライブに圧倒されて、焦りが湧いたというか。「自分たちもこのスケールでやりたい!」「ジッとしてる場合やないぞ!」みたいな。お店でめっちゃ真剣な話をしましたね。

SNG:曲作りで言えば、「メンバー個々が持ってきたアイデアを基に進めていくスタイルが多かったけど、もっと4人で密に向き合いながらやりたいよな」とか。そういう話をしてから、制作が以前より楽しくなった感じもあるんです。

──SNGさんから日々の生活に目を向けたという話もありましたけど、より身近に感じられる曲が多くなった印象で、THE FRANK VOXらしさが過去イチ表現できた作品でもあると思います。等身大の姿が伝わってくる、4人のフランクな人間性が全面に出ているアルバムだなって。

SNG:嬉しい感想です。THE FRANK VOXというグループ名に表れているとおり、僕らカッコいい音楽をやりたいわけでもなくなってきてるんですよね。うーん……なんて言えばいいんかな?

RYO:自分たちの人間性から乖離しない音楽でありたいってことですね。THE FRANK VOXが始まって以降、そこをどんどん詰めていってる感覚があります。

RYO-TA:これまでミニアルバムやEPのリリースを積み重ねてきた結果、“いつもの僕たちやで〜!”みたいな取っつきやすさが無理なくスッと出せました。ありのまんまです。

SNG:演じてないよな。RYOはRYO、YASUはYASU、RYO-TAはRYO-TA、SNGはSNGの人間性そのままでステージに立つし、それが楽曲にも投影されているイメージ。

RYO:レコード会社の方も僕らがやりたいこと、等身大の自分たちを届けたいという姿勢を尊重してくれて、舵取りを基本的に任せてくれるので、責任は大きいんですけど、すごくありがたいなと思ってます。

YASU:今回の曲作りもレコーディングも、全員が納得いくまでやれましたから。

◾️大阪城ホールに向けて、ひとつずつしっかりやっていきたい

──良い意味で力を抜いて作れたところもありそうですね。じゃないと、冒頭「ご挨拶」「フランクでええよ♪」からの自然体でリラックスした空気は生まれないと思うので。

RYO-TA:確かに。「フランクでええよ♪」はそれこそ4人で集まっていい感じにワイワイやりながら進めたんですけど、音遊びの延長みたいなノリが強くて。めっちゃ楽しく作れましたね。

SNG:RolandのSP-404っていうサンプラーで僕がビートを打ってるんですけど、それに合わせてRYO-TAがフリースタイルでラップしたり。YASUくんが「このメロディどう?」みたいに歌い出したら、「それいいやん!」と採用する感じがあったり。

RYO-TA:曲中で僕が煽る部分は「もっとふざけた感じの声で!」とSNGがディレクションしてくれました(笑)。

YASU:めっちゃスピーディーにできたよな、この曲は。

RYO:普段はいったん曲ができたあと、メロディや歌詞について改めて話し合う工程があるんですよ。でも「フランクでええよ♪」に関してはあえて清書をせず、その場で出たフラッシュアイデアを大切にしました。

SNG:フランクな温度感をより伝えたかったんですよね。リスナーの方、お客さんがその場にいるような雰囲気でやりたかった。なので、この曲だけは特殊。落語の『寿限無』から引用した《食う寝るところ歌うところ》を自分が思いついたんですけど、そこだけが最初にあったくらい。ピアノとベースをRYOくんに弾いてもらったり、スタジオでいろいろパパッと決まったのがよかったなと。

──ライブっぽいですよね。生のパフォーマンスが得意なグループだってことがわかります。掴みのヒューマンビートボックスはSNGさんですか?

SNG:そうです。さっき話したインスタの動画を含め、アカペラでフラボを知ってもらうことやボイパを褒めてもらえることが多かったので、直感的に入れてみようかとなりました。ライブではやってますけど、音源でやったのは意外と初めてですね。

RYO:トラックもSNGがチョイスしてくれた音を活かして、遊び心がある作りになってます。

SNG:スクラッチとかスティールパンとかいろんな音を賑やかに使いつつ、あっという間に終わる感じにしたくて。YASUくんのバースには、彼のポップなキャラに合うようなレゲエの明るいニュアンスを加えてみたりもしました。

YASU:ありがとうございます(笑)!

──「フランクでええよ♪」は順番的に最後に作った曲とのことで、今の話を聞くと順調に仕上がったのが窺えますけど、アルバム全体の制作は振り返ってみてどうでしょう?

RYO-TA:他の曲は追い込まれまくりですね(笑)。「なんかいいこと」も「ありのまんま」もそうやし、「特別」も煮詰まったなー!

SNG:「特別」の歌入れのとき、RYO-TAが寝落ちしてたの覚えてるわ〜!

YASU:深夜まで制作して、翌日は東京に行くみたいなことも多かったんですよ。年末が特にハードやった。

RYO:曲作りは2023年の大晦日までやってましたね。レコーディングやマスタリングが終わったのは2024年の1月中旬。

RYO-TA:僕らめっちゃ民主主義で、全員の意見が揃わないとOKにはしないんです。誰かひとりでもしっくりこなかったら、そこについてちゃんと話し合う作り方で。だから、スケジュールが押してしまうこともあるんですけど。

SNG:レコード会社とはバチバチのやりとりでした。(スタッフに向かって)すいません!

──前回のインタビューでは、SNGさんがスタジオで突然歌い出したフレーズをきっかけに「友よ。」が生まれたというエピソードをお聞きしましたけど、アルバム制作で印象的だったことなどは?

RYO:やっぱり「ムツラボシ」ですかね。この曲だけはベリーグッドマンのHiDEXさんとガッツリ共作させていただいて、HiDEXさんのスタジオでのレコーディングが新鮮でした。

RYO-TA:歌い方やメロディの動きも、僕らにはなかったものを提案してもらいました。もともとの頭になさすぎる動きやったんで、最初はちょっと違和感があったんですけど、取り組むうちにじわじわ馴染んでいったし、そうやって変化を加えることで聴く人により響くのも理解できたというか。世界が広がるような体験やったなと思います。

──フラボを結成した頃にHiDEXさんのスタジオへ遊びに行ったのが、そもそもの始まりなんでしたっけ?

RYO:はい。最初はSNGがプライベートで知り合って、「RYOくんも行こうや」みたいな流れでお会いすることになり。ちょっと遊びに行かせていただくだけのつもりやったんですけど、HiDEXさんがそこで急に「曲作ろうか!」と言い出したんです。

──予想外の展開が。

RYO:「えーっ! いいんですか!?」みたいなリアクションですよね、こっちは。

SNG:「HiDEXさん、お金ないっすよ! 制作費なんて払えないです」という感じやったんですけど、「いらんいらん! プレゼントやから頑張れ」と言ってくださって。

RYO:そこからの速さがめっちゃエグくて、ものの1時間くらいでトラックがほぼできちゃうんです。プロのスピード感。あれは衝撃でしたね。

SNG:ただ、ベリグさんは大阪城ホール公演もすでにやられている大先輩やから、僕たちがすごく気負っちゃって。トラックをその日いただけたのは嬉しかったんですけど、メロディと歌詞がしばらく何も書けなかったんですよ。

RYO-TA:気づけば、いただいてから1年くらい経っていて。

YASU:それも失礼な話やな、よう考えたら(笑)。

SNG:「さすがにそろそろHiDEXさんとの曲、やらへん?」となったのが、アルバムのリリースが決まった頃で。

RYO:アルバムの先行配信曲をどうするかっていうときに、さっき話に出たベリグさんの結成10周年記念の甲子園ライブがあって、僕らの結成1周年もその時期に重なっていたから、これは何かの縁かもなと思ったんですよね。

──いただいた曲を形にしてリリースしたいことを、HiDEXさんに改めて相談したわけですね。どんな反応でした?

SNG:「やっと来たかあ〜。遅いねーん!」みたいな。

RYO:1年間ずっとつつかれてましたからね(笑)。「俺の曲、まだー?」って。

YASU:そこからもけっこう時間はかかったんですけどね。

RYO-TA:気負いまくりでな(笑)。

SNG:どうにか仕上げてレコーディングの現場に持っていったものの、自分たちが満足いかへん〜! となってしまいまして。HiDEXさんのスケジュールを空けていただいてるのに、泣きでさらにもう一日お願いするっていう……。せっかく節目のタイミングで憧れの先輩と作れるんだし、なんとしてもええ曲にしたかったんですよね。

RYO-TA:最初のデモを朝までかかって全部作り変えてな。で、HiDEXさんにもう一度聴いてもらったんですけど、「これやったら前のほうがええわ」と言われたり。

全員:(爆笑)

RYO-TA:ほんで、頭を抱えながらその日にまた考え直すんです。

YASU:思い出したくない記憶や〜! 想いが強すぎてまとまらなかった感じですね。

RYO:申し訳なかったです。1日で終わる予定やった作業を、結局3日間も付き合ってくださいましたから。

SNG:「ぜんぜんええよ! でも、売れたらマジで金払えよ(笑)」と言ってくれて、ホンマにベリーグッドマンです。自分が先輩側でこんなんされたらブチギレてますもん。

──そんな制作の様子がリリックビデオに映ってましたね。「ムツラボシ」はこれまでの悔しい経験を踏まえて書かれた曲のようにも感じます。

RYO-TA:フラボって、エリートやスーパースターがいるグループではないんですよ。這いつくばってでも一歩一歩進んでいくのが自分たちのスタイルやなと思っていて、そんな日々で感じたこと、溜めてきた想いを、昇華できたような曲ですね。

RYO:途中までは自分たちのメッセージをガチガチに詰め込んだ応援歌みたいな感じやったんですけど、HiDEXさんが「何か例えを入れたりしたほうが、もっと曲の良さが伝わると思うよ」とアドバイスしてくださったんです。そこから「星とかどう?」みたいな話になって、「ムツラボシ」というアイデアが生まれました。曲タイトルは「ムツラボシ」か「昴」のどっちかやなと。

RYO-TA:ライブでのタイトルコールや曲振りをイメージしたら、「ムツラボシ」のほうがしっくりきた感じです。

YASU:表記も「ムツラボシ」「六連星」で迷ったけど、ディスコグラフィーやアルバムの曲タイトル一覧に並べてみて、カタカナのほうがハマりがええなと思いました。

SNG:大きく輝いている月はもちろん綺麗やけど、その周りで小さく輝いている星たちも綺麗だよなと思ったんですよね。一つひとつは粒のように小さくても、星と星が繋がって名前が付く感じとか、集合体になって大きな存在になり得る感じとか、どこか自分たちと重なるような気がして。

──“細かな星の集まり”を意味するムツラボシを介して、自分たちも輝ける、輝きたいという想いが描かれてますね。

SNG:生まれた境遇で未来を決めちゃってる人が、今は多いような感じがするんです。そこに歯向かうじゃないけど、運命さえも笑っちゃおうぜという想いも込めました。

RYO-TA:親ガチャや教師ガチャみたいな言葉も聞きますけど、そういう状況だって絶対に覆せないものではないと信じられるような、困難を照らすきっかけになったらいいなと思いますね。月として生まれなかった自分たちの曲が。

SNG:楽しくて「ムツラボシ」のことをしゃべりすぎました(笑)。すいません!

──リード曲「なんかいいこと」についてはどうですか?

YASU:この曲は満場一致でリードに決まった感じです。

RYO:《ああ、なんかいいことないかなって》のサビメロを僕が思いついて。

RYO-TA:そのワンフレーズで、絶対にええ曲になる予感がしたんですよね。

RYO:僕らもそう口にしちゃうときはあるんです。華やかな世界でうらやましいと言っていただくことが多いんですけど、制作やライブをふと当たり前のものに感じてしまったりもするし、どうしても人間なんでね。会社員や学生の方たちも、毎朝だいたい決まった時間の電車に乗って、だいたい決まった時間に帰ってきて、めっちゃええことが起こるわけでもないし、めっちゃ悪いことが起こるわけでもないみたいな代わり映えしない日々を、きっと同じように経験されてるんだろうなって。

──誰しもが思い当たる感情なんじゃないかと思います。

RYO:でも、もうちょっと俯瞰的に物事を見てみたら、ささやかな幸せって身近にあったりするものなんですよね。メンバーともほぼ一緒にいるので、棍詰めて作業してると、どうしても相手の悪いところに目が行ってしまいがちなんですけど、“いや、そうじゃないやん!”と自らを省みたというか。この4人で歌えてる、家族や友達が応援してくれてる。それ自体がものすごく素晴らしいことやなと気づいたときがあったんです。

SNG:押しつけがましい感じにはしたくなかったので、なるべくふんわり聴けることは意識しました。

RYO:こんな日もええんかな、くらいの気持ちになってもらえれば。

──日常に寄り添うような人情味のある曲が多いですよね、フラボって。「アワパリ」という曲も収録されていますけど、俗に言うパリピみたいな印象はないし、むしろRYOさんが今おっしゃったささやかな幸せとかを歌いたいグループなんだなというのがアルバムを通して強く伝わってきます。

RYO:ああ、そうかもしれないですね。

SNG:派手な表現をワーッてするよりも、ささやかなことを歌うほうが面白いと思ってるのかもしれないです。そのほうが聴いてて気持ちがいい。例えば、誰か知らない人のルーティーン動画なんかも人間味があって好きやし。煌びやかなモンは煌びやかな方たちにお任せして、僕らはアーティストというより人間でいたいんでしょうね。みんなと一緒にしてさせてくださいって感じ。

RYO-TA:大阪城ホールを目指すのも“ついて来いよ!”じゃなくて、“今日のライブもめっちゃ楽しかったし、一緒に行けたらええな”みたいな感じやもんな。僕らにメッセージを伝えてくれるお客さんも多いんですよ。「今では私の夢がそれになりました」とか、「フラボに出会って歯科衛生士になることが目標になりました」とか。そう言われたら「俺らの夢もあなたが歯科衛生士になることやで。応援するから一緒に目指そうや」と思うんで。

SNG:あっ!

RYO:どうしたどうした?

SNG:いや、こういう曲が生まれる理由ってアレじゃない? 前にみんなで話したやん。“近くにいる人に届かなきゃ、遠くにいる人になんて届くわけがない”みたいなことをさ。「なんかいいこと」にしても「友よ。」にしても、自分たちがお世話になってる人を思い浮かべて、その人に伝わるかどうかを大切にしてるから、人情味が出るんちゃうかなって。

RYO:もちろん“共感してほしい”が前提ではないけど、わかってもらえたほうが嬉しいし、何より近くの人に届かへん曲やったら、そもそも表現や音楽としてアカンと僕らは思うので。大阪城ホールが目標やけど、1万人に届く歌を意識するんじゃなく、あくまで近くに届けられるのか。その積み重ねを大切にしたいんです。

SNG:あと、ネットの世界とかに疲れてるのもあるかな。もっとあったかくていいやんって。誰かの不倫や浮気なんてどうでもいいし、自分のピースなところにフォーカスして生きてほしいと思うんです。そんな一人ひとりと大阪城ホールで集まれたら素敵ですよね。

──《ささやかな 出来事にしあわせと感謝を持って》と歌っている「愛とかLOVEとか」も、ウェディングソングにも合いそうな「特別」も、そういう意識や考えのもと生まれてきたんだろうなと、今の話を聞いていて思いました。

RYO:ありがとうございます。アルバムにこんな特徴があったんやなって、僕らも気づかされた感じです。

YASU:僕も近くの人、目の前の人を大切にすることって大事やなと日々感じてますね。昔はホンマに自分のことしか考えてなかったと思うから。でも、このメンバーが教えてくれたことがたくさんあって、今こういう曲が歌えているし、物事の伝え方とかも学ばせてもらった気がします。

RYO-TA:YASUはどの曲が好きなん?

YASU:まだあまり話してないところで言うと、「アワパリ」「開幕宣言」は音源化できてよかったな。お客さんからも「まだ?」という声が多かったので、ようやく応えられました。「アワパリ」なんか、デビューする前のストリートライブからやってる曲やし。

──「開幕宣言」のサビの《ノリに乗りまくり盛り上がる的な》は、ドスの効いた声で歌いたくなりそうなのに、そう歌ってないのがいいですね。

RYO:おおっ!

SNG:鋭いですね。オラオラで歌ってみたパターンもあるんですよ(笑)。

RYO-TA:実はあの部分、オラオラ声も入ってなくはないんですよ。SNGの声でちょびっと聴こえるくらい。

SNG:でも、それを主メロにしたら、なんかフラボっぽくないなって。

RYO:4人ともその感じで歌うタイプじゃないんで。だとすると、ありのまんまじゃなくなるじゃないですか。

──カッコつけることになっちゃいますもんね。そういうことでしたか。

YASU:なので、遊び心で本当に薄〜く残したバージョンになりました(笑)。

──「LIKE A 少年」はどんなイメージで作ったんですか?

SNG:ボサノバとヒップホップを掛け合わせたテンションの曲がずっとやりたかったんですよね。RIP SLYMEさんのような、2000年代のJ-POPのゆるくて熱い感じのイメージもありました。サビの《グー》や《Woo》で声を合わせる気持ちよさとか、コーラスで浮遊感を出すのも上手くいったかな。

RYO-TA:僕らってストレートにガツンと盛り上げる曲は多いんですけど、「LIKE A 少年」みたいにアップでありながら心地よく踊れる曲はなかったので、こういうの欲しかったんですよね。

──アルバム中盤の「LIKE A 少年」「なんかいいこと」の流れが素敵です。アコギが基調になっていながら、ギターソロでエレキが入ってくる感じとか、耳当たりがとても良くて。

SNG:「LIKE A 少年」は僕らの大好きな名村武さんが、爽やかで絶妙な抜け感を施してくれました。

RYO:このアルバムで言うと、「愛とかLOVEとか」のアレンジも名村さんです。

──といったところで、お時間になってしまいました。

SNG:えーーーっ! もっと話したいんで、カフェでも行きませんか?

RYO-TA:ムチャ言うな(笑)。

RYO:あははは。

──最後に、4月から始まるリリースツアーに向けて一言ずつお願いします。

RYO-TA:前回のツアーは4ヵ所やったんですけど、今回は東名阪以外も含む全国12ヵ所でやれるのが嬉しいですね。公演数も増え、キャパも大きくなり、また挑戦なんですけど、現状維持している場合じゃないので。大阪城ホールに向けて、ひとつずつしっかりやっていきたいです!

SNG:めっちゃ楽しみです。最近はお客さんがすごい熱量で来てくれるし、フルアルバムができて曲数が増えましたからね。

RYO:これを削らなアカンという感じで、セットリストを悩めるんです。今までは持ち曲ギリギリやったんでね(笑)。

YASU:各地の方に会えるのが楽しみです。新しいフラボを届けに行きます!

取材・文◎田山雄士

メジャー1st Full Album『VOX LETTER』

発売日:2024年2月21日(水)
CD:¥3,300(税抜価格¥3,000)
品番:TECI-1820 POS:4988004172632

【収録曲】
M1.ご挨拶 作曲:THE FRANK VOX
M2.フランクでええよ♪ 作詞/作曲:THE FRANK VOX 編曲:Rkmy,SNG
M3.開幕宣言 作詞/作曲:THE FRANK VOX 編曲:先田貴裕
M4.ムツラボシ 作詞:THE FRANK VOX 作曲:THE FRANK VOX/HiDEX 編曲:HiDEX
M5.友よ。 作詞/作曲:THE FRANK VOX 編曲:本田光史郎
M6.LIKE A 少年 作詞/作曲:THE FRANK VOX 編曲:名村武
M7.なんかいいこと 作詞/作曲:THE FRANK VOX 編曲:Rkmy Additional Guitar: toriyama takashi
M8.アワパリ 作詞/作曲:THE FRANK VOX 編曲:YUTA(マエノミドリ)
M9.愛とかLOVEとか 作詞/作曲:THE FRANK VOX 編曲:名村武
M10.特別 作詞/作曲:THE FRANK VOX 編曲:Rkmy Additional Guitar: toriyama takashi
M11.ありのまんま 作詞/作曲:THE FRANK VOX 編曲:YUTA(マエノミドリ) Additional Guitar:Gen Sakuma

<VOX LETTER TOUR 2024〜フラボのレター、全国へお届けに参ります。〜>

2024年
4/06(土) 神奈川:横浜BAYSIS
4/07(日) 栃木:HEAVEN'S ROCK Utsunomiya 2/3(VJ-4)
4/20(土) 岐阜:岐阜club-G
5/06(月・祝) 香川:高松TOONICE
5/11(土) 福岡:福岡OP's
5/12(日) 兵庫:MUSIC ZOO KOBE太陽と虎
5/25(土) 宮城:enn 3rd
6/08(土) 東京:Spotify O-WEST
6/22(土) 広島:広島Yise
6/23(日) 岡山:岡山CRAZYMAMA 2ndROOM
6/29(土) 愛知:新栄シャングリラ
7/07(日) 大阪:Umeda TRAD

<VOX LETTERリリース記念フリーライブ>

※すでに終了した公演は割愛
2月21日(水)大阪・タワーレコード梅田NU茶屋町店 19:00~
2月22日(木)大阪・HMV&BOOKS SHINSAIBASHI 18:30~
2月23日(金・祝)大阪・アリオ八尾 光町スクエア(1)13:30~ / (2)16:00~
2月24日(土)大阪・ヨドバシカメラマルチメディア梅田 2F LINKS広場(1)13:30~ / (2)16:00~
2月25日(日)岐阜・モレラ岐阜 1F ゴールドプラザ(1)13:00~ / (2)15:30~

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