【DeNA】山﨑康晃がキャンプでハイペース調整! 新球も披露し「年間通して頼られる選手にならないと」「守護神奪回にメラメラしてます」

「守護神の座は競争とはっきり言われてましたから、そこの意識はすごく強く持ち続けながらここまでやってきました」日焼けした肌に、滴り落ちる汗を気にすることなく、山﨑康晃は気持ち良さそうにここまでのキャンプを振り返った。

昨年は守護神としてシーズンスタートし、前半は20セーブをマークするなど存在感を発揮。しかし夏場から不安定なピッチングが続き、森原康平にその座を譲る忸怩たる想いを抱きながらシーズンを終えた。今オフは「やり返す思いが強いですね。クローザーの座は挑戦者の気持ちで掴みにいきたい」との想いを胸に“マル秘トレーニング”を敢行。契約更改の際に「キャンプでは違った姿を見せたい」と誓った通り、8キロ減のスリムボディで沖縄入りし「動けすぎじゃないかと思うくらい」と第1クールから調整に満足げな表情を見せていた。

第4クールの最終日にはライブBPに登板。その前のブルペンでは軸となるストレートとツーシームに加え、カーブ、カットボール、チェンジアップと多彩な変化球を試してマウンドへ向かうと、ストレートの最速は147キロ、アベレージでも145キロとキレのあるボールを武器に、打者5人に対しヒット性の打球1本に抑え込んだ。
「ここまで無事に、怪我なく実戦的な練習ができたことが一番の収穫」と笑顔を見せながらも「やっぱりストレートだなって再認識しましたね。もちろん新しい変化球にも挑戦してますけど、ストレートをもっと磨かないといけないなって思いますし、自分の生命線はツーシームではなく、ストレートなんだなって改めて感じました」と、ブルペンでもアウトコース低めを丹念に突いていたように“ピッチャーの原点”を見つめ直していた。

そのうえで「変化球も一通り投げていますけど、どのボールも精度が高い山本(由伸)君のようには、なかなかいかないんです。もっと練習が必要ですね」と、まだまだ納得がいっていない様子。続けて「あとは実戦の中で打者の反応を見ながら、結構タイトになるんですけど、その中で余裕の持てる一球になればいいなっていう風に思いますし、どんどんそういう(投球の)幅を自分の中で消さずに攻め続けていきたい」と理想を口にした。

また「佐々木(主浩)さんもカーブを楽なカウントで投げていましたし、そういうのも、ひとつ自分の引き出しとして必要なボールだなって思うので、そこを磨き直して頑張っていきたい」と“元祖・大魔神”のスタイルも参考に、進化を狙うと高みを見つめた。 キャンプでは、昨年頭角を現わした石川達也や宮城滝太の他に、大卒3年目の徳山壮磨、ルーキーの松本凌人らニューフェイスも積極的にアピール。山﨑は、活きの良い若手が切磋琢磨している状況に「やっぱりこう多く若手がいる中で、手本を示せる立場でないといけないと思うんで。次のクールから本当にメンバーの入れ替えもありますからね。そういう意味では残ってるメンバーでしっかり戦い抜けるように、自分たちの心を鬼にしてチームで頑張っていきたいなと思っています」と、投手キャプテンの重責を解かれた今年も、その役目を担う気持ちは変わっていない。
さらに森原康平、J.B.ウェンデルケンの昨季経験組に加え、セットアッパーの伊勢大夢らがクローザーの座を狙っていることには、「僕も守護神奪回にメラメラしてますから。しっかり磨き上げてですね、ほんとに年間通して頼られる選手にならないといけないと思ってます」と目をギラつかせた。

ルーキーイヤーから守護神として君臨し、ここまで227セーブと名球会入りまで残り23セーブと手の届く範疇にまでたどり着いた節目の10年目。“ヤスアキジャンプ”は9回でこそ、映える。

取材・文●萩原孝弘

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