今さら聞けない「本当にいいの?」“カルカタ(軽硬)”シャフトについて教えて

ドライバ―シャフトのトレンドは50g台です!

【アマチュアSさんの“今さら聞けない”】
軽いシャフトが流行っているようですが、その理由は?いわゆるカルカタの定義や、メリット&デメリットを教えてください。

“カルカタ”はなぜ流行った?

【たけちゃん'sアンサー】
一般のアマチュア男子のシャフト重量は、5年ほど前まで60g台がスタンダードと考えられていました。が、ここ数年のトレンドは50g台です。重量は“軽く”、フレックスを“硬く”した“カルカタ”が定番になりつつあります。

世間でカルカタが流行り始めたのには様々な理由があります。まず、トーナメントで活躍するプロがシャフト重量を落として飛距離を伸ばし始めた事で、アマチュアにも「シャフトは軽くした方が飛ぶ」という考えが浸透したこと。

また、シャフトメーカーさんの企業努力と、カーボン繊維の質の向上などが相まって、軽くて硬いシャフトが作れるようになったという「技術と素材の進化」もあります。各クラブメーカーも、「ヘッド重量を重くしてシャフトを軽くする流れ」を意識したクラブ開発をしていて、カルカタブームに拍車をかけたといえます。

2023年発売の最新シャフト (上から)藤倉コンポジット「SPEEDER NX BLACK」、三菱ケミカル「TENSEI Pro Blue 1K」、グラファイトデザイン「Tour AD VF」、USTマミヤ「LIN-Q BLUE EX」(撮影/小林司)

カルカタにすると“軽い”のは事実ですが、“硬い”かどうかは微妙なところです。どういうことかというと、基本的に重量が10g下がると振動数も小さくなり、硬さは半フレックス程度落ちます(軟らかくなる)。つまり、大抵のゴルファーは元々使っていたフレックス表記より、一段階硬いフレックス表記のシャフトを振ることができるのです。

例えば、60g台のSRを使っていた人が50g台のシャフトに移行する場合、同じくらいの振動数を選ぶとSシャフトになるというイメージです。この「フレックスの移行」が結果的にカル“カタ”と呼ばれているだけで、振動数だけを見ると物理的に硬くなったわけではない場合が多いのです。

ヘッドスピードが落ちない範囲で重いシャフトを選ぶ

あくまでも私の見解ですが、“カルカタブーム”は多くの人がそもそもオーバースペックのシャフトを使用していたという背景があると思います。日々多くのゴルファーのフィッティングをしていますが、ほとんどのアマチュア男性ゴルファーにとって、60g台のフレックスSはオーバースペックで、50g台のフレックスSがマッチする場合が多いです。

軽くすることの最大のメリットはヘッドスピードが上がり、今までより飛ぶ可能性があることです。その恩恵にあずかる人は多くいるでしょう。ただ一方で、人によっては本来のポテンシャルより軽いシャフトに移行することで、ボールへのエネルギー伝達効率が悪くなり飛距離が落ちるケースもあります。

結論からいいますと、やはり現在の自分に最適な重さ、すなわちヘッドスピードが落ちない範囲でなるべく重いシャフトを選ぶという事が一番大切だと思います。人間は重いものを軽くするのは簡単でも、一度軽いものに慣れてしまった後に重いものに替えるのは難しいからです。

■ゴルフクラブABCとは
巷には様々なゴルフクラブがあふれ、自分にぴったりの一本を見つけるのは至難の業。そもそもクラブを選ぶにも難しい用語が多く、深く知ることを敬遠している人も多いのではないか。そこでクラブ選びに役立つ「基礎中の基礎=“ゴルフクラブのABC”」を、全国から“患者”が訪れるというすご腕クラブフィッターたけちゃんに分かりやすく教えてもらう。

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