初日首位の牧野任祐が感じた新型ウエットタイヤの“キャラ変”。「すごく敏感」ながらもロングランは良好?

 2月21日、三重県の鈴鹿サーキットで行われた全日本スーパーフォーミュラ選手権の公式合同テスト。初日の2セッションはともに雨に見舞われたが、両セッションでトップタイムを記録したのはDOCOMO TEAM DANDELION RACINGから参戦する牧野任祐だった。

 昨年第6戦富士では悲願の初優勝に過去もっとも近づきながらも、ピットストップでリアム・ローソンに逆転を許し、惜しくも涙を飲んだ牧野。なんとしても勝利をつかみたい2024シーズンに向けては、12月の合同テストでも2日目午前のトップタイムをマークするなど上位で戦える好調さは維持しており、開幕目前の今回のテストでもそのパフォーマンスには注目が集まっていた。

 初日の2セッションをトップタイムで終えた牧野は「ラップタイム的には両方トップで終われたので良いのですが、フィーリング的にはちょっと……」と首をひねっていた。

「久々のウエットというか、タイヤが変わって初めての(雨の)テストだったのですけど、2022年の雨の鈴鹿のレース(第3戦)と比べても、ちょっとウエットのフィーリングは違いますね」

 牧野が語るように、コントロールタイヤを供給するヨコハマは、2023年シーズン途中から再生可能原料を配合した新しいウエットタイヤを導入。このタイヤでのウエットコンディション初走行となったテスト初日は、そのキャラクターの変化に若干の戸惑いもあったようだ。

2023年6月の富士公式合同テストより投入されたサステナブル素材配合のウエットタイヤ

「構造的には、固くなったと聞いています。それがそのまま影響しているのかは分かりませんが、すごく敏感にはなったと思いますね」と牧野。

 牧野が例に挙げたのは、通称“マッチャン”と呼ばれるNISSINブレーキヘアピンからスプーンカーブに至る高速区間や、NIPPOコーナーからデグナーに至る区間などでの挙動だ。「そういったゆるいRのコーナーに対して、必要以上に反応が出るような気がしていて、そこはいままでとは雰囲気が違うところ」だという。

 また、テスト初日は強くもなく、弱くもなくと表現できるような比較的一定した雨量となったため、タイヤの感度を確認できた“幅”は狭いと牧野。

「もっと雨が降った段階も見てみたかったし、もっと降った段階で新品を履こうとも思っていたのですが、降らなかったし、明日も雨量としてはそれほど変わらないと思うので……」

 しかし総合的なウエットでのパフォーマンスについて、牧野は「現時点では悪くないのかなと思っています」として、「ロングをしたときの落ちは、以前より少ないんじゃないか」と好印象を持ったという。

「あの鈴鹿(2022年第3戦)のときは結構(多くのドライバーで)落ちがあって、僕は逆に後半良かったりもしたのですが、松下(信治)さんはそれ以上に良くて抜かれてしまった、というレースでした。今日も若干長めに走ったりもしたのですが、そんなに落ちないんじゃないかと思っています」

 このウエットタイヤについては、他のドライバーからもこれまでとのキャラクターの違いを指摘する声が聞かれた。テストは2日目も引き続き降雨が予想されており、各陣営にとっては“新たなキャラクター”を理解し、使いこなし方を探る時間ともなりそうだ。

2024スーパーフォーミュラ鈴鹿合同テスト 牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)

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