子どもを長々と叱る夫。感情で怒ってしまう妻。そんな「正直な夫婦」が前向きに子育てをしていくには?

子どもの食事のしかたなどを細かくチェックし、厳しく叱る夫に悩んでいた相談者のまどかさん。

心理カウンセラーのよしおかゆうみさんは、まどかさんも気づかなかった夫の良い面を伝え、フォローする方法をアドバイス。すると、夫の厳しさに対する見方が変わってきて……。

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「夫と違って、私は感情的に子どもを怒っている」と気がついて、反省しました

編集部:まどかさん、前回の悩み相談から1カ月ぶりですね。よしおか先生のアドバイスを受けて、やってみたことや何か変わったことはありますか?

まどか:先生から「夫が子育てに積極的に参加している」と言っていただいたことが、もう目から鱗でした!これまで夫の子どもの怒り方に関しては、話が長いとか細かいとか、けなすことしかしてなかったなと気がついて。

よしおか:うんうん。

まどか:前回、先生とお話した日の夜も、ご飯の食べ方にワーッて怒ってて、ああ~って思ったけど、積極的に子どもに関わっているという見方をすると、自然と気持ちも変わってきたんです。

編集部:どんなふうに?

まどか:感謝の気持ちが湧いてきました。それで、食後に夫と2人になったときに「いつも子どもたちの食べ方とか声をかけてくれてありがとう。その分私は注意しなくてすむし、フォローに回れるから」とポロッて言いました。

編集部:ほお~~!

まどか:そうしたら「子どもたちには、将来いろんな人と食事を楽しめる大人になってほしいから」と返ってきて。なるほど、それって大事なことだよねと思いました。見方が変わるだけで感謝するポイントも変わるし、私が感謝の気持ちを伝えたら、夫からこんなふうに返ってくるんですね。

よしおか:うんうん、そうね。

まどか:次の日には、夫が「今日イラッとして、つい感情的に怒っちゃって」と話し出して。「急にどうしたの?」と聞いたら、末っ子を抱っこしてるのに上2人がぶつかってきて、危ないからつい怒ったそうなんです。「子どもたちをびっくりさせて、悪いことしたな」と言っていました。

編集部:そんなこともあったんですね。

まどか:はい。それでふと「私は家事や育児に追われてイライラすると、ついもぉ~!!って怒るけど、夫は感情的に怒ることってないな」と気づきました。怒るのは何回も注意されたことをするとか、食べ方やマナーに関してなんです。

よしおか:ええ。

まどか:「私はもっとしてるよ。でも、あなたは感情的に怒ったりしないよね。すごいと思う。子どもたちの将来を見ながら怒ってるんだよね」という話もしました。

編集部:どんな言葉が返ってきました?

まどか:「それぐらい、いいんちゃう。毎日頑張って育児してんねんから。俺は気になること言っとるだけやし。ていうか、普段が優しすぎるねん!」って。

編集部:へえ~、素敵!

まどか:先生にこれまでと違う見方を教えてもらったおかげで、私にも問題があったし、自分の叱り方もそんなに褒められたものではないと反省しました。

長々と怒るパパと、ユーモアでカバーするママ。その家ならではの個性があっていいですね

編集部:前回は、パパに怒られて息子さんが委縮していると伺いましたが、息子さんに変化はありましたか?

まどか:今もよく怒られてて、そんなに変わらないかな(笑)。でも、パパが怒っている最中に、子どもたちもパパに認められたくてすごく頑張ってるという話を差し込むようにしてみました。

編集部:というと?

まどか:「今日は自転車で坂道を登れるようになったんだよね。動画を撮ってパパにも見せようって頑張ったのに、ああ怒られてしまった~」と言ってみたり。すると「そうなん?」「すごいやん、できるんやん!」と褒めてくれて、そこで雰囲気がやわらいだりして。

よしおか:さすが!お上手です。

編集部:パパが怒ることを否定せずに、ユーモアでくるんでフォローするという、よしおかさんのアドバイスを実践したのですね!

まどか:子どもたちは褒められることが増えたので、自分からパパに「〇〇ができるようになったよ!」と報告するようになってきて、よかったなと思います。

よしおか:素晴らしいですね。お手本のようです。

まどか:いえいえ、「最近めっちゃ褒めるやん」って言われますが、夫が長々と怒るのは相変わらずです(笑)。

よしおか:まあね、でもそれがまどかさん一家のカラーだから。個性があっていいですよね。夫のプライドも保たれているし、すごくいい雰囲気で私もうれしい!

食事のマナーノートを作ったら、「今日はこれに気をつけるね」と長男。前向きに取り組んでいます

まどか:よしおか先生に、食事のマナーカードを作ってパパのお叱りを回避するアイデアを教えてもらって、次の日にすぐ作りました。ネットで無料イラストを探してプリントして、ノートに貼る形にしました。

よしおか:ええ!次の日に!?

編集部:仕事が早い!

まどか:保育士だからそういうのは得意なんです(笑)。最初は「食べこぼしをする」「立ち歩く」とかNG行動にバツ印がついたイラストを使っていたら、娘に「できたときのイラストのほうがいいんじゃない」って指摘されて。

よしおか:素晴らしい!できたことに焦点を当てるんですね。

まどか:そうなんです。それで「いただきますと言ってから食べる」と「茶碗を正しく持って食べる」というイラストをメインにしました。ほかにも守りたいマナーの数を増やしたら、夫が「これもできてない。あれもこれもできてない!」と言い出したので、今はこの2つしか見せてません(笑)。

よしおか:子どもとの約束事って細かくしがちなんですが、まどかさんのようにすごくシンプルな内容にして、数もしぼってあげると、子どもも覚えやすいし身につきやすいですよね。

まどか:長男もわりとノートを見てて「今日はこれに気をつけるね」と自分から言ったりします。私も「今日はこれができたね!」と褒めたりして役立ててます。

よしおか:上手に活用していて、もう言うことなしです!

まどか:でも、私の怒り方の問題点も見えちゃって、夫がバランスをとってくれてるからよかったけど、注意しなきゃと思ってます。

よしおか:今回のことをきっかけに、ご自身のことや夫婦の役割分担を俯瞰して見ているのは素晴らしいです。なかなかできることじゃないですよ。

まどか:夫は私が怒っても「普段甘いからいいと思う」と言って止めてくれないので、そこは甘やかさないで~って思います。

よしおか:まどかさんの大変さ見てるから、そういうことも多少あるだろうなって、思っていらっしゃるんでしょう。

まどか:そうですね。「ママを困らせるから悪いんや」って、いつも味方してくれます。

よしおか:そうやって夫婦で尊重し合ったり思いやる姿を、子どもたちは見てるじゃないですか。すると多少ケンカすることがあっても大丈夫と思えるし、後から自分や相手のことを見つめ直す大切さもわかるだろうし、子どものコミュニケーション能力がすごく向上すると思うんですよ。これから生きていくうえで、すごくいい見本になっていると思いますね。

まどか:そうなれたらいいな。頑張ります!

家族の中で正直に自分を出すことって、とても大事です

まどか:よしおか先生の言葉には、本当にハッとしました。子育てについて、私が積極的に参加してほしいことと、夫が積極的に関わりたいことが違うのは当たり前なんですよね。今までついつい周りのやさしいお父さんと比べちゃってたけど、逆に私がそうされたらすごく嫌だなって思いました。

編集部:夫との子育て観のズレにずっと悩んでいたまどかさんが、見方を1つ変えたらいろんなことがどんどん好転したのは、どうしてだと思われますか?

よしおか:まどかさんの素直さ、意地を張らずに行動したり気持ちを伝えられることは大きい気がしますね。それと旦那さんも正直なかたでしょ。

編集部:ええ。

よしおか:お互いに正直であることを許し合っているご家族だと思うんですね。家族の中で正直であること、正直に自分を出すことって、とても大事だと思うんです。まどかさん夫婦はそれができているので、いったん見方や考え方が変わると、その後の変化も大きいんじゃないかな。

まどか:何年も悩んでいましたが、先生の言葉に本当に救われました。

編集部:素敵な後日談が聞けましたね。よしおか先生、満点ですかね?

よしおか:満点以上!花丸です!

編集部:花丸出ました~(拍手)。ありがとうございました。

イラスト/髙栁浩太郎 取材・文/神坐陽子 企画/サンキュ!コメつぶ編集部

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