奈良県/ウオーターPPP、流域下水道対象に検討へ可能性調査業務を公告

奈良県は、官民連携手法として国が打ち出した「ウオーターPPP」の導入に向け、流域下水道事業を対象に調査を始める。下水道施設の老朽化が進み、改築や更新需要の増大が見込まれる中で、限られた予算内で施設を管理するには限界があり、民間のノウハウを生かして持続的に施設を維持する。20日に「奈良県ウオーターPPP導入可能性調査業務」の一般競争入札を公告した。3月4日まで参加を受け付け、同18日に開札。総合評価方式で落札者を決める。
昨年6月に「PPP/PFIアクションプラン」が改定され、2031年度までの10年間で事業規模を30兆円まで成長させることを掲げた。空港やスタジアム・アリーナなどの重点分野で計575件の事業実施を目指している。これまでのコンセッション(公共施設等運営権)に加え、上下水道分野では管理・更新一体マネジメント方式を含めて多様な官民連携手法を導入する。
県は、流域下水道事業を対象にウオーターPPPを含む官民連携手法の導入を検討する。事業者への参入意向調査を踏まえ、導入効果を把握し事業スキームを決める。
入札参加資格は建設コンサルタントの「下水道」部門または物品購入等の「調査分析業務」に登録し、国や地方自治体、日本下水道事業団(JS)が発注したPPP/PFI導入に向けた市場調査業務の元請履行実績があること。入札書の提出期間は3月8~15日。開札後に落札候補者から技術提案書の提出を受け、入札価格と提案内容を評価して落札者を決定する。
対象は大和川上流・宇陀川流域下水道事業の3処理区(第1、第2、宇陀川の各処理区)と吉野川流域下水道の吉野川処理区。第1処理区の浄化センターが最も古く、1974年に供用を開始した。4浄化センターは分流式を採用しているが、第1処理区は一部合流式がある。管路やポンプ場も含まれる。
業務内容は上位計画や維持管理、改良工事などの状況を整理し、課題の抽出や関係者へのヒアリングを実施。その上で、実現可能なPPP/PFI手法を2~3案程度に絞り込み、業務範囲や対象施設、事業期間を検討。簡易なVFM(バリュー・フォー・マネー)を算定する。事業手法には管理・更新一体マネジメント方式(更新実施型・更新支援型)を含める。
マーケットサウンディング(対話)型調査を行い、実現可能な手法を選定する。調査結果を踏まえ、事業者の公募方式やスケジュールなどを検討する。選定した事業手法のVFMを算定し、導入効果を評価する。
履行場所は大和郡山市額田部南町など。
業務期間は25年3月21日まで。

© 日刊建設工業新聞社