国交省/自動物流道路実現へ検討会初会合、24年夏に想定ルート公表

国土交通省は、高速道路などに荷物を運ぶ自動運転カートの専用走行レーンを設ける「自動物流道路」の実現に本腰を入れる。輸送技術や機能について議論する有識者検討会を立ち上げ、21日に初会合を開いた。政府が目標とする今後10年での運用開始に向け、まずはコンセプトを固める。今夏にも想定ルートなどを盛り込んだ中間取りまとめを示す。
自動物流道路は高速道路などの地下空間や中央分離帯を活用し、荷物を運ぶ自動運転カート専用の走行レーンを整備する構想。運転手不足や脱炭素化といったトラック輸送の課題解決に貢献できる新たな輸送手段として期待されている。
会合の名称は「自動物流道路に関する検討会」。委員長には羽藤英二東京大学大学院教授が就いた。インフラや輸送技術といったハード面に加え、需要分析や事業スキームといったソフト面も検討する。初会合では物流の現状や課題、自動物流道路を巡る海外の動向を共有し、委員の意見を募った。
想定ルートとしては、物流需要が高い幹線道路を推す声があった。トラックが不足している大都市と地方都市間など、現状の輸送手段でカバーできていない区間を提案する意見も出た。
自動運転トラックや鉄道といった他の輸送手段との役割分担や連携手法を明確にすべきとの意見もあった。JR貨物や日本自動車工業会(自工会)など関連事業者との意見交換体制の構築も視野に入れる。
必要な法制度の整備も議題に上がった。スイスが計画する荷物輸送専用の地下トンネルの建設プロジェクトでは「地下貨物法」という新たな制度を作った事例がある。現行の法体系で対応可能かどうかを含め、検討する。
事業費については、スイスの地下トンネル建設プロジェクトが総延長約500キロで5・7兆円とするデータを参考として紹介した。委員からは自動物流道路の必要性や整備効果を前面に打ち出して、必要な予算を確保するための機運醸成が必要になるとの指摘があった。

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