GDPで世界トップ3から転落した日本、越えなければならない4つの関門―中国専門家

20日、環球時報は、経済規模がドイツに抜かれて4位に転落した日本の経済再生を阻んでいる「壁」について紹介する記事を掲載した。

2024年2月20日、中国紙・環球時報は、経済規模がドイツに抜かれて4位に転落した日本の経済再生を阻んでいる「壁」について紹介する、南開大学世界近現代史研究センター教授で日本研究院副院長の張玉来(ジャン・ユーライ)氏の文章を掲載した。

張氏は、日本の株式市場がここ数日上昇トレンドにあり、日経平均株価は一時1989年12月末につけた史上最高値に迫ったほか、金融企業を除く日本の民間企業の金融資産残高が1449兆円に達したと紹介する一方で、日本の国内総生産(GDP)は2四半期連続でマイナスとなっただけでなく、昨年の名目GDPで世界のトップ3から転落したと指摘。IMFも世界銀行も今年の成長率を1%未満と予測するなど、日本経済は多くの不確実性を抱えているとし、日本の経済成長を阻む四つのポイントを挙げた。

まず、金融緩和からの脱却が必須課題であるとし、長期の金融緩和が日銀の負債を膨張させ、今や日本のGDPの約134%を占めるに至ったほか、市場の歪み、政府支出の膨張、ゾンビ企業の大量発生による市場効率低下など、制度の硬直化、リスク対応能力の低下などさまざまな悪影響を招いていると指摘した。

次に、「賃金と物価」の好循環システムが依然として不透明であることに言及。物価上昇が進む中で賃上げを容認する日本企業が増えているものの、「賃金上昇で家計の購買力が高まって消費が拡大し、緩やかな物価上昇につながる」という好循環は見えず、現状では物価上昇が名目賃金の上昇を上回り、実質的な賃金の目減りが起きているため、家計の消費支出が減少を続けていると論じた。

さらに、現在の日本企業に野心や起業家精神が欠けていると指摘。日本には企業の技術革新のための技術基盤や準備が不足しているわけではなく、ブレークスルーを実現する資源を組織化し活用する精神が足りず、日本から画期的な技術や革新的な企業を生み出せなくなっている根本的な理由であるとの分析を紹介した。

そして最後に挙げたのは、近年の反グローバル化の流れによる日本経済への悪影響。張氏は、日本が半導体などのハイテク分野で米国とその同盟国が築いた「高い壁」に巻き込まれると同時に、自らも「経済安全保障」を掲げて米国の動きに迎合していると主張。いずれも日本経済の健全な発展に資するものでないことは明らかだと論じた。(翻訳・編集/川尻)

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