ビリー・ジョエル「ピアノ・マン」50周年!人気の真髄はにじみ出る “たたきあげ感”  ビリー・ジョエルの名盤「ピアノ・マン」デラックス・エディション」がリリース

御年74歳!東京ドーム公演を行ったビリー・ジョエル

2024年の幕開けは、海外アーティストによる華々しい東京ドーム公演をもってして大いなる話題を振りまいているようだ。ブルーノ・マーズの7回公演を皮切りに、テイラー・スウィフト、クイーンといったビッグ・ネームたちが華麗なるステージを敢行していた中、御年74歳の超ベテランシンガー、ビリー・ジョエルも、1回限りの東京ドーム公演を行った。まことしやかに「最後の来日公演か?」なんて言われていることも相まって、老若男女の洋楽ファンを巻き込んでの旋風だった。本国アメリカはもちろんのこと、ここ日本でのビリー人気は、驚くほどに長く根強く大きいといっていいようだ。

ビリー・ジョエルの人気・魅力の真髄は “たたきあげ感” にある。歌がうまいとか、作曲能力に長けているとか、ステージさばきがすごいとか、そんなことは当然の前提条件、それらを形成したかのように見える “たたきあげ感” は、すべてのビリー作品からにじみ出ていると言っていいだろう。そして、その “たたきあげ感” は、常に自身の才能を信じる確たる自信に裏打ちされているのは言うまでもない。

ビリーのアルバムすべてにその味付けはごく自然に施されているが、特に大出世作『ストレンジャー』(1977年)を含む初期の作品に色濃い。中でも特筆すべきアルバムは、はばたく直前の輝きが充満した『ニューヨーク物語』(1976年)、そしてなんといっても出世作となった『ピアノ・マン』(1973年)ということになろう。

ビリーの代表曲へと成長した「ピアノ・マン」

アルバム『ピアノ・マン』には、ビリーにとって初のナショナルヒットとなった「ピアノ・マン」(1974年 ビルボードのシングルチャート最高位25位)が収録されている。今となっては、「素顔のままで」や「アップタウン・ガール」等と並んで彼の代表曲といっていい作品だ。

初のナショナルヒットとはいえ、1974年当時は最高位25位のニューカマー・シンガーによる小ヒット。しかしこの曲はシングル「素顔のままで」及び、アルバム『ストレンジャー』での大ブレイク以降、ビリーがビッグネームになっていく過程の中で代表曲へと成長していくことになる。

事実「ピアノ・マン」は、アメリカにおいてリリースから約2年後の1975年にゴールドディスク(50万枚)認定、ビリーがスター街道を登りつめた時期であるリリースからおよそ26年後の1999年には4タイムス・プラチナディスク(400万枚)を記録している。

ニューヨークの感触がどうしてもあふれ出てくる逸品

「ピアノ・マン」はビリーの “たたきあげ感” を象徴、及び演出する作品としても有名だ。メジャー契約前の1970年代初頭、ビリーは売れるために、拠点をニューヨークからロサンゼルスへと移した。そのことだけでも彼の心中を察するに落涙を禁じ得ないが、この頃は心の中で熱き情熱を秘めながら、若き “ピアノマン” として、ロスのバーで夜な夜なピアノを弾き歌を歌っていた。

もちろんその時の経験が「ピアノ・マン」に大いに反映しているのは明白だが、不思議とニューヨークの場末のバーで明日のスターを夢見る若者が酔っぱらいのリクエストに応える風景が浮かぶのだ。内に秘めた情熱をにじませながら、ニューヨークの感触がどうしてもあふれ出てくるビリー・ジョエルらしい逸品であるとしか言いようがない。

「ピアノ・マン」が、初めて聴いた時から現在に至るまで、耳にするたびに聴く者に感動を喚起するのは、こういったエピソードが複合的に絡んでいるからなのだろうか。彼の作品はどんな情景を描こうとも、ニューヨークの匂いが漂ってくるのは実に不思議だし、だからこそビリー・ジョエルの楽曲は魅力的なのだ。なんともグッとくるタイトル!の「さよならハリウッド」(『ニューヨーク物語』に収録)と「ピアノ・マン」は、ビリーの “たたきあげ感” を象徴する、大ブレイク前の双璧楽曲と呼んでもいいのでは。

アルバム「ピアノ・マン」デラックス・エディション」がリリース

セカンドアルバム『ピアノ・マン』の50周年記念、及び16年ぶりの来日公演を記念したデラックス・エディションが2月28日にリリースされる。オリジナルアルバムのSACD、未発表曲含むライブ&デモを中心としたレアトラックスCD、初DVD化多数含むレアビデオズDVD、という内容の3枚組完全生産限定盤!

ビリー本人によるセルフ・ライナーノーツ(これが面白い!)を筆頭に、これでもかというくらいの豪華さ。オリジナルアルバムを既にお持ちの方も、これから耳にする方も、どちらも納得のビリー・ファンならまったく損のない内容になっている。やっぱり名盤と呼ばれるアルバムは、フィジカルで保有するのがいちばんだよ。

ビリー・ジョエル『ピアノマン50周年記念デラックス・エディション』

世界初となるSACDマルチ(4ch)ハイブリッドDISC+レア音源 / レア映像満載のBONUS DISCで構成された3枚組に、貴重なメモラビリアを復刻して封入した、ファン垂涎の永久保存盤(日本独自企画)

カタリベ: KARL南澤

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