富山県西部の博物館、被災資料受け入れ 東京から文化財レスキュー関係者、高岡市立博物館を視察

森本副会長(左)に取り組みについて説明する仁ヶ竹主幹=高岡市立博物館

 富山県西部の博物館が、民家などに保管され、能登半島地震で被災した古文書や民具を避難させる「文化財レスキュー」に取り組んでいる。地域資料を運び出して寄付や寄託として受け入れており、専門家は「1点しかない資料が捨てられると、歴史が失われるに等しい」と指摘。21日は高岡市立博物館で資料保存に関する全国組織の関係者らが、今後のサポートなどについて話し合った。

 高岡市立博物館では震災後、古い蔵が壊れて解体せざるを得なくなった市民らから4件の相談があった。高岡市早川の山本光雄さん方からは、軍隊手帳や勲章、農地改革記念の火鉢など明治から昭和にかけての資料約30点、同市五福町の粟山輝雄さんからは昭和初期の製麺業の歴史が分かる文書などの寄贈を受けた。

 地震で大きな被害を受けた氷見市内でも市民からの問い合わせなどが相次ぎ、氷見市立博物館にはこれまでに19件の相談があった。解体作業などで重要な資料が捨てられる恐れがあることから、両博物館は情報提供を呼びかけている。

 こうした状況を把握して今後のサポートにつなげようと、21日は全国歴史資料保存利用機関連絡協議会(東京、全史料協)の副会長、森本祥子東京大文書館准教授が高岡市立博物館を訪ねた。同館の仁ヶ竹亮介主幹は、伏木地区から運び出した北前船関連の資料を広げながら、資料整理の人手と保管場所が不足していることや、汚れた資料をきれいにする最新のノウハウを求めていることを伝えた。

 森本副会長は「サポートで何ができるか情報収集に動いている。地元の生活が落ち着いてお手伝いできるタイミングになったら支援に入りたい」と話し、東日本大震災でも協力した関係団体のネットワークで情報共有を進めているとした。

 仁ヶ竹主幹は「緊急時はまず資料を確保する必要がある。整理する際に連絡をもらえればありがたい」と話している。

高岡市立博物館が寄付を受けた資料

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