おわらに有料観覧席 風の盆運営委、新たな収入源模索

優美な踊りを披露する東新町の踊り手=2023年9月2日、富山市八尾町東新町

 おわら風の盆行事運営委員会(会長・金厚有豊県民謡越中八尾おわら保存会長)は、今年9月に富山市八尾町中心部で行う「おわら風の盆」で有料の観覧席を設ける。風の盆の運営費を賄う新たな収入源の確保に向けた試験的な取り組みで、神社境内などに並べた椅子に座って演舞を鑑賞してもらう。担い手は「風の盆の風情を損なわない形で、身の丈に合った持続可能な風の盆を考えていきたい」とする。

 おわら風の盆は毎年9月1~3日に開かれ、富山市八尾町中心部の11町の担い手が、各町の通りや広場で唄や踊りを繰り広げる。昨年は新型コロナウイルス禍の行動制限が緩和され、行事運営委員会によると、3日間で前年比6割増の約19万人が訪れた。

 3日間にわたる風の盆の運営費には、行事運営委によるステージや駐車場収入、企業からの協賛金、市の補助金などを充てているが、採算が合わない年もある。2019年まで八尾小学校グラウンドに設けていた有料の「おわら演舞場」の収益も運営費になっていたが、舞台の耐震化といった改修費を捻出できず再開のめどは立っていない。

 市は、24年度当初予算案に行事運営委への例年通りの補助金1350万円に加え、有料観覧席の設置費として150万円を計上した。若宮八幡社(東新町)の境内などに椅子を並べ、東新町や西新町の担い手が唄や踊りを披露する予定だ。町流しが行われる各町の混雑を避けて演舞を楽しんでもらうことで、観光客の満足度を高める狙いもある。

 行事運営委の事務局統括で県民謡越中八尾おわら保存会渉外部長の橘賢美さん(70)は「趣ある町並みを含めて、風の盆が成り立っている。観覧席の設置で風情を損なうことがないよう、場所や規模を検討する必要がある」と話す。金厚会長(75)は「観覧席を設けるには人手が必要。風の盆の継承に向けて市と共に実施方法を話し合いたい」とした。

 座席数や価格、申し込み方法などは今後検討する。

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