高級品質の茨城県産シラス 漁業者と加工業者開発 鮮度と食感こだわり

県のプレミアム基準をクリアして完成した渡助商店の「プレミアム天日干ししらす」(右)と安重水産の「プレミアム釜揚げしらす」

茨城県内のシラスの漁業者と加工業者が協力し、プレミアム品質の茨城シラス商品を新たに開発した。県が定めた基準に基づき、鮮度を追求。味や食感の良さを高め高級商品に仕上げた。ターゲットを百貨店購買層に設定し、2023年終わりに首都圏の高島屋5店舗で限定販売。茨城県内2社のシラス商品計77キロ分を販売して好評を博した。

鮮度へのこだわりが最大の特長。船上での保管から加工まで、低温維持管理を徹底した。市場から加工場へ持っていくまでの間、温度計で0度近い一定の水温を維持しているという。

百貨店で発売されたのは、渡助商店(日立市)と安重水産(鹿嶋市)の商品。昨年11月29日~12月5日の1週間、高島屋で期間限定販売された。渡助商店の「プレミアム天日干ししらす」は100グラム900円、安重水産の「プレミアム釜揚げしらす」は100グラム800円(ともに税別)。

2社の商品は茨城県が本年度の「茨城県産しらす高付加価値化事業」で定めた四つのプレミアム基準(鮮度、漁法、漁場、加工方法)を満たした。高島屋食品売り場に出店する水産物加工販売「魚小路」によるテイスティングを経て選ばれた。

商品について、安重水産の安重幸次さん(53)は「身がふっくらしている。食べた人は皆、『食感が違う』と言う。一匹一匹がしっかりしている」。渡助商店主の渡辺琢裕さん(59)は「鮮度感が違うと、きれいに商品が仕上がる。シラスの身が折れることもない。良い魚があれば、良い商品ができる」と品質に確かな自信を見せる。

シラスの群れを網で巻き取る一艘曳(いっそうび)き漁法は、網に入ったシラスを5~8分で船に揚げることができ、それを生きたまま氷で締めるため、船上の段階から鮮度が高い。シラスを納めた久慈浜丸小漁業協同組合(日立市)の宇佐美正義組合長(64)は「鮮度が高いシラスは食べた時の甘みが全然違う。百貨店で好評だったと聞き、取った側としてもうれしい」と喜ぶ。

県が定めたプレミアム基準は、①漁師が自信を持って選んだ一網であること②船上から市場まで適切に低温維持管理されたものであること③短時間の網入れで生きたまま漁獲する一艘曳き漁法であること④親潮と黒潮がぶつかる茨城県沖が漁場であること⑤生食可能な品質を保持したまま加工されたものであること-などと決まっている。

© 株式会社茨城新聞社