月収300万円・50歳の勝ち組サラリーマンでも「年金、すくなっ!」…桁外れのエリートが65歳で受け取る「衝撃の年金額」

高収入でも「年金が少ない!」の衝撃

――1ヵ月で6万円だったもん

以前、ビートたけしさんがテレビで語った年金についてのコメント。有名人も名を連ねたいわゆる「長者番付」が発表されていたころ、たけしさんは常連でした。「お金持ちだろうに……年金は月6万円しかもらえないんだあ」とショックを受けた人も多かったのではないでしょうか。恐らくたけしさんの場合、手にできるのは国民年金だけ。国民年金は満額受給で月6万8,000円(令和6年度)なので、長者番付の常連だった大御所芸能人であっても、会社員経験がない限り、年金はだいたいそれくらいだと考えられます。

――1,500万円も税金を納めているのに、年金はこんなに少ないんです

誕生月に送られてくる「ねんきん定期便」に記されている年金の見込み額を披露したのは、50歳だというサラリーマン。そこに書かれているのは、国民年金と厚生年金を合わせて「月27万円」という金額でした。

――年金、すくなっ!

明らかな勝ち組だと思われる男性の年金見込み額に、驚きを覚える人も多いでしょう。1,500万円というのは厳密には給与から天引きされている金額で、すべてが税金というわけではないようです。では、年間1,500万円も天引きされるという男性は、そもそも、どれほどの給与を得ているのでしょうか。

シンプルに賞与や控除などを考えずに計算すると、だいたい月収は300万円ほどと考えられます。サラリーマンの頂点に君臨する勝ち組の中の勝ち組、といったところでしょうか。

【月収300万円の場合の手取り額】

◆額面:36,000,000円

◆手取り額:20,808,512円

(天引きの内訳)

・所得税:10,057,600円

・住民税:3,218,400円

・健康保険:834,000円

・厚生年金:713,700円

・介護保険:151,788円

・雇用保険:216,000円

※東京都在住と仮定した場合の概算

ちなみに、国民年金の受給額は、以下の計算式で求めることができます。

年間受給額=年金額×(保険料の納付月数÷480ヵ月)

厚生年金の場合も以下の計算式で求めることができます。

①平成15年3月以前

平均標準報酬月額×7.125/1,000×平成15年3月までの加入期間の月数

②平成15年4月以降

平均標準報酬額×5.481/1,000×平成15年4月以降の加入期間の月数

理論上の「厚生年金(老齢厚生年金)」の上限は?

高給取りにも関わらず、年金の見込み額は(いまのところ)月27万円だという50歳男性。そもそも年金は最高いくらもらえるものなのでしょうか。

国民年金は前出の通り、満額支給で月6万8,000円。では厚生年金はというと、月30万3,373円あたりが上限となります。厚生年金の計算のもとになる「標準報酬額」は32等級に分かれ、「標準報酬月額」の上限は65万円(報酬月額63万5,000~66万5,000円)。実際の給与が月300万円だとしても65万円として計算されます。ちなみに「標準賞与額」は支給1回あたりの上限が150万円です。

「厚生年金に16歳から70歳まで加入」し、「厚生年金の加入期間中の給与が常時63万5,000円以上」で、「厚生年金の加入期間中の賞与を毎年3回、150万円以上受け取る」という場合、理論上は月30万3,373円が上限で、併給の国民年金と合わせても37万1,373円しかならないことになります(令和6年度)。

このように厚生年金には上限があり、その条件に当てはまるのは会社人である期間の年収が「平均1,212万円以上」いう桁外れのエリート。また、これよりもどんなに収入が高くても現役時代に納める保険料が増えないのと同じく、将来の年金額も増えることはありません。

年金受給額の平均は月14万4,982円。65歳以上に限ると男性16万7,388円、女性10万9,165円。やはり「年金、すくなっ!」と声を挙げてしまう金額です。

[参考資料]

日本年金機構『国民年金の保険料』

日本年金機構『健康保険・厚生年金保険の保険料関係』

日本年金機構『老齢年金(受給要件・支給開始時期・年金額)』

厚生労働省『令和4年度厚生年金保険・国民年金事業の概況』

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