21歳で急逝した朝陽さんに誓い、タッグパートナー松井珠紗「思いを背負う」アクトレスガールズ公演再開

アクトレスガールズは21日、東京・新木場1stリングで本公演を再開した。今月1日に所属する女子プロレスラーの朝陽(あさひ)さんが不慮の事故のため21歳で急逝。選手の心情を考慮し、同9日の公演を延期するなど、活動を休止していた。

第1試合前には所属選手、観客が朝陽さんに黙とうを捧げ、主軸の青野未来が「私たちは朝陽ちゃんが愛したプロレスを、朝陽ちゃんが愛したリングへ、アクトレスガールズとして一生懸命パフォーマンスをお届けして参ります」と決意を述べた。

メーンでは9日公演でAWGシングル選手権を争う予定だった王者・茉莉と挑戦者の松井珠紗の前哨戦が実施。松井&かなみっく組と茉莉&CHIAKIのタッグ戦は、松井が17分21秒、松井スペシャル(仮)でCHIAKIから3カウントを奪取した。

9日の代替公演となる、25日・新木場大会で実施予定の王座戦へ弾みを付けた松井は、朝陽さんのタッグパートナーだった。勝利後はマイクを持ち「朝陽見てるか、勝ったぞ!」と絶叫。「朝陽とは一緒には叶えられないけれど、朝陽の思いを背負って、茉莉さんからテッペンを取ります」と誓った。

バックステージで松井は朝陽さんについて「寂しい、悲しい気持ちもたくさんありますが、朝陽がプロレスを本当に愛していたので、明るく楽しく戦っている朝陽を見てきたので、絶対にリング上では明るく居続けようと思いました」と心境を吐露。「23年生きてきて、仲のいい人や身内が亡くなったことがなかった。そのせいか今まで実感がなくて、朝陽がどこからか現れてくれるんじゃないか、とも思っていました。でも今日試合をやったことで、いつも居たはずの所に朝陽がいなくて、ようやく本当にいなくなったんだなと実感しました」と涙をこらえて気丈に話した。「せめて私だけは明るくいようと思っている。朝陽の分まで背負って、全部明るく元気にお客さんに届けていければと思っています」と懸命に明るい表情をつくり、前を向いた。

元プロレスラーで現在はアクトレスガールズのアドバイザーを務める風香氏は「朝陽が愛していたリングを守ろうと、皆で再出発の準備をしてきました。私自身もつらかったですが、つらいからこそ前を向こうと思いました」と振り返った。朝陽さんからは青野との対戦を今後の目標に掲げられ、それに向けた展開を話し合っている途中、突然の別れが訪れたという。再開公演を見届け「準備期間は短かったですが、それでもプロとして気持ちで乗り切った。選手が成長するきっかけになったと思います」と評価した。

25日にはAWGシングル選手権のほかに、朝陽さんの映像を見て、その人柄を偲ぶ時間が設けられる。

(よろず~ニュース・山本 鋼平)

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