友人が「年収アップ」のために転職活動をしています。転職により年収が増えるという客観的なデータはありますか?

転職で年収はアップする?

厚生労働省がまとめた「令和4年雇用動向調査結果の概況」によれば、転職して賃金が上がった人の割合は全体で34.9%です。そのうち24.5%の人が1割以上賃金が増加しています。年代別に見ると、賃金が上がった人がもっとも多いのは19歳以下で47.8%、次は25〜29歳で45.6%、その次は35〜39歳で44.9%です。

次に、民間企業による調査結果を紹介します。株式会社リクルートが運営している転職支援サービス「リクルートエージェント」で調査した「転職時の賃金変動状況」によれば、2023年7〜9月期では35.3%の人が前職と比べて賃金が1割以上増加しています。これらの調査結果から、転職による年収アップは、一般的に実現可能と考えていいでしょう。

年収のピークを迎えるのは何歳?

国税庁がまとめた「令和4年民間給与実態統計調査」の「年齢階層別の平均給与」を見ると、平均年収がもっとも高い年代は全体では55〜59歳で546万円です。19歳以下の世代から年収は上がり、55〜59歳の年代でピークに達しています。60歳を超えると、年代が上がるにつれて平均年収は下がっていきます。

男女別で見ると、男性のピークも同じく55〜59歳で、平均年収は702万円です。そして、60代以降は次第に年収は低くなります。女性の場合、年収のピークは25〜29歳と男性より早く迎えますが、金額は349万円にとどまっています。

以降ゆるやかに下がり、45〜49歳で一旦上がるものの、年代が上がるにつれて平均年収が下がっていくのは男性と同じです。ただし、下がり始める時期は男性よりも早く、50歳以降となっています。

何歳までに転職するのが理想的なのか?

先ほど紹介した厚生労働省の「令和4年雇用動向調査結果の概況」を見ると、転職で年収アップを実現させている人の割合が高いのは39歳までです。40〜44歳も38%の人が年収アップを実現していますが、年齢とともに実現できた人の割合は小さくなります。そのため、40歳になる前には転職しておくのが理想的といえるでしょう。

年収のピークは、先述のとおり55〜59歳です。ただし、50代後半は一般的に定年退職を控えている時期で、50代で転職をしたところで年収アップは見込めない場合が多いでしょう。50代の年収を少しでも上げるには、それよりずっと早いタイミングで転職できていることが条件になります。遅くとも30代のうちには転職を実現しておく必要があるでしょう。

転職による年収アップは可能

国がまとめている調査結果や民間企業が調べたデータを見ても、一般的に転職によって年収アップを図ることは可能です。転職すれば必ず収入が上がるとは限りませんが、3割を超える人が実現できています。年収アップを狙うには、転職しやすい年齢も考慮することが重要です。現在の年収に疑問を持っているなら、ライフプラン全体を見直し、慎重に転職を考えてみるのもいいでしょう。

出典

株式会社リクルート2023年7-9月期 転職時の賃金変動状況
厚生労働省 -令和4年雇用動向調査結果の概況-
国税庁 令和4年度民間給与実態統計調査

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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