【開幕前テストの要点/初日】垣間見えたレッドブルRB20のポテンシャルの高さ。理想的なタイムの出し方と滑らかな挙動

 F1開幕戦を2週間後に控えた開幕前テストは、新車を本格的に走らせる初めての機会となる。なので特にテスト初日は、確認すべき事項も山ほどあり、かなり慎重な走り出しとなるのが普通だ。

 そして今回のバーレーン・プレシーズンテスト初日の各チームは、気流センサーをマシン前後に取り付けたり、フロービズ(空力識別用の蛍光色の塗料)を車体表面に塗っての確認走行に、例年以上に時間をかけているように見えた。午前のセッションは特にガレージにこもっている時間も長く、全体的に周回数も去年ほどは伸びなかった。

 その理由のひとつは、多くのチームがマシンコンセプトを変えるほどの大きな変更を新車に加えて来たからだった。姉妹チームのレーシング・ブルズ(RB/旧アルファタウリ)はいうまでもなく、メルセデス、アストンマーティン、マクラーレンも、新車の外観を昨年圧倒的な強さを見せたレッドブルRB19に大きく寄せてきた。

 一方で本家のレッドブルは、さらにアグレッシブな空力を投入してきた。新車発表会では隠された部分も多かったRB20の全貌が、ここでついに明らかになる。それがどれだけのポテンシャルを持っているのかが、テスト初日の最大の焦点と言ってよかった。

 結果は、午前午後のセッションともにマックス・フェルスタッペンがトップタイム。特に午後には、まずセッション中盤に1分31秒662。さらに終了26分前に1分31秒344までタイムを伸ばし、2番手ランド・ノリスに1.140秒の大差をつけた。ちなみに去年のテストでのフェルスタッペンの自己ベストは、2日目に出した1分31秒650だった。今年は初日ですでに、コンマ3秒以上速いタイムを叩き出したことになる。

 RB20の走りで特に印象的だったのが、スムーズ極まりない挙動だ。マクラーレンやメルセデスなどがタイヤをロックさせ、バランスを乱したターン8、10の進入でも、ほとんどステアリングを修正しないまま、オン・ザ・レールで駆け抜けていく。

 ピットウォールでフェルスタッペンを走りを見守っていた担当エンジニア、ジャンピエロ・ランビアーゼの満面の笑みが、すべてを物語っていた。

F1開幕前のプレシーズンテスト初日、笑顔が見られるフェルスタッペンとレッドブル陣営

 去年もフェルスタッペンがトップタイムだったが、『伏兵』アストンマーティンのフェルナンド・アロンソが100分の3秒の僅差で2番手につけた。しかし今年のテストは、少なくとも初日に限れば王者を脅かす速さを見せたマシンはなかった。

 ただしレーシンング・ブルズで午後のセッションを担当したダニエル・リカルドは、マクラーレンのランド・ノリス、フェラーリのカルロス・サインツに0.01〜0.1秒まで迫る4番手の速さを披露した。レーシンング・ブルズの速さは、はたして本物なのか。テスト2日目以降でレポートしていきたい。

開幕前テスト、フロービズをマシンに塗って走る角田裕毅(レーシング・ブルズ)

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