猫の日

 〈歩くとき足音を立てなくなる。怠けものになり、団体で行動するのが大儀になる。誰かに忠誠を誓うのが面倒になり、薄目をあけてあたりをうかがい、楽なほう楽なほうと考えるようになる。年とともに肥えてくる〉▲“わが家の一員”を思い浮かべながら「分かる分かる」とうなずかれる方も多かろう。引いたのは〈猫と一緒に暮らしていると、だんだん猫に似てくる〉と始まる向田邦子さんの説。大の猫好きで知られた▲〈解答のないパズル〉〈どこに座ればわれわれが不便になるか、正確な場所を計算できる〉〈「拒絶」を理解するには、猫に無視されればよい〉…ネコたちの自由で気まぐれな行動ぶりはどこの国も同じだ、と海外の名言も教える▲枕草子の「上にさぶらふ御猫は」の段に登場する「命婦(みょうぶ)のおとど」は名前の記録が残る国内最古の愛玩猫とされる。一条天皇に溺愛された「おとど」もまた、気ままな日なたぼっこをきっかけに騒動を引き起こす▲ネコと言えば…関係人口の創出・拡大を目指す県の「長崎の変」のキャラクターも「変」顔の猫だ▲にゃん×3の「猫の日」に合わせて県のPR動画を見返してみた。“著名猫”たちの猫らしからぬ郷土愛と団結心には改めて頭が下がった。HPの更新が長く滞っているのは、何かの見間違いか。(智)

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