2月ロイター企業調査:中国市場に悲観的62%、他市場シフトで対応

Ritsuko Shimizu

[東京 22日 ロイター] - 2月のロイター企業調査では、景気低迷が続く中国経済の見通しと対策などについて聞いた。今後5年間の中国市場を悲観的とみる向きが6割超にのぼり、先行きに対する不透明感が色濃く出た。

また、すでに中国関連の事業にも影響が出ており、事業収益が前年比で減少したとの回答が4割超になった。対応策としては、生産・販売の他市場へのシフトを挙げる回答が多かった。

調査期間は2月6日から2月16日。発送社数は499、回答社数は239。

今後5年間の中国市場に対しては「やや悲観的」が50%、「非常に悲観的」が12%で計62%が悲観的な見方を示している。懸念材料としては「景気減速」が49%と最も多かったほか、不動産市場への危機感も24%と高水準だった。

企業からは「対米関係の悪化も手伝い、計画経済の限界が感じられる」(化学)、「米中摩擦は中国のみならず世界経済への影響大」(輸送用機器)など米中対立の影響を指摘する声が出た。

「先進諸国の投資が中国から撤退を始めており、現状が長引けば回復までに時間がかかると思われる」(情報サービス)といった見方も聞かれた。

一方、中国事業、あるいは関連する事業の収益が前年同時期に比べてどの程度変動したかを聞いたところ、1―10%減少したとの回答が21%、31%以上減少も6%あり、減少との回答は計42%に達した。

対応策としては、生産・販売の他市場へのシフトが35%と最も多かった。

業種別にみると、化学製品が71%、食品が67%、精密機器・その他製造が62%と高い回答となった。

「中国顧客が欧米や東南アジアへシフトするのに合わせてシフトする」(紙・パルプ)との方針を示す企業があった。日本への回帰に関しては「国内製造業の競争力強化の好機と捉えることも可能だが、政府として産業育成に向けて不退転の決意を示すだけの策を打ち出してほしい」(ゴム)と、政府への要望も出された。

一方では「中国から撤退するようでは、今後の世界市場では勝ち残れないので、縮小はするが撤退は選択肢にない」(機械)、「潜在力はあるとみている」(繊維)など、中国市場での事業を継続する動きもある。

(清水律子 グラフィック作成:照井裕子 編集:橋本浩)

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