2月ロイター企業調査:トランプ政権の誕生は「リスク」が49% 保護主義など懸念

Ritsuko Shimizu

[東京 22日 ロイター] - 2月のロイター企業調査では、11月の米大統領選でトランプ前大統領が返り咲いた場合「リスクだと感じる」とする企業が49%を占めた。トランプ氏はすでに、日本製鉄のUSスチール買収に異議を唱えるなど、日本企業には警戒感も広がっている。世界的な保護主義の高まりや日米貿易摩擦などが懸念されるが、企業の多くはトランプ政権の誕生を前提とした事業計画を検討にするには至っていない。

調査期間は2月6日から2月16日。発送社数は499、回答社数は239だった。

市場などで「もしトラ」とも言われるトランプ政権の誕生について、「リスクだと感じる」とした企業からは「強度の対中制裁が、米国・世界経済を冷やすリスク」(輸送用機器)、「円安が進むのではないか」(建設)などの声があった。また、「ウクライナ支援中断と中東の混乱」(金属・機械)のほか、パリ協定からの離脱を表明した過去を踏まえ「環境対応へのシフトが停滞する」(化学)との指摘もあった。

トランプ政権誕生を前提とした事業計画については「検討する予定はない」が60%、「未定」が32%と具体的な動きはまだ出ていない。ただ、検討している企業からは「メキシコへの投資時期を遅らせる(大統領選の結果をみて決める) 」(輸送用機器)、「中国最終加工の米国向け製品について、カナダ、メキシコ経由など販路の活用と東南アジア生産拠点の活用。 米国拠点を活用した日本製の販売拡大」(紙・パルプ)など具体的な案も出ている。また、米国内での生産増強や設備投資といった声も聞かれた。

岸田政権の支持率が低迷するなか、ポスト岸田についても聞いた。石破茂自民元幹事長が18%と最も支持を集めた。「一択」(金属製品)、「防衛力強化を望む」(不動産)との声があった。次いで、上川陽子外相と菅義偉前首相が12%ずつとなった。候補として急浮上してきた上川氏に対しては「大臣としての経験も豊富で、説得力や力強さを持ち、覚悟ある決断もできる。語学も堪能」(窯業)、「総じて男性は心許ない、堅実な女性首相の活躍に期待したい」(サービス)など力強い支持コメントが並んだ。

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