ME機器(治療機器)市場に関する調査を実施(2023年)~2022年度のME機器(治療機器)市場は、前年度比1.9%増の1,796億7,600万円、2023年度は補助金終了と電気代高騰などから病院収支が悪化しているものの、部材不足や物流問題がおさまり、同市場は前年度比7.7%増の1,935億900万円を予測~

株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、国内のME機器(治療機器)市場を調査し、市場の動向、参入企業動向、将来展望を明らかにした。

1.調査結果概要

本調査では、病院や一般診療所等で使用されるME(Medical Engineering)機器のうち、32項目(54区分)の治療機器を対象としている。
2022年度は、新型コロナウイルス感染拡大防止支援に関連した補助金等により需要が拡大した製品については、一部製品で前年度に続き購入増があったものの、前年度からは反動減となった製品も多かった。一方、受診控えが解消され、手術件数の回復などで病院収支が好転し、新規・更新需要が発生した製品群(市場)、コロナ禍以降も低調となった製品群などもあった。そうしたことから、2022年度のME機器(治療機器)市場は、前年度比1.9%増の1,796億7,600万円と推計した。

2.注目トピック~変化するME治療機器市場

ME治療機器市場に影響を与える要因としては、手術や各種の処置件数、診療報酬改定等の基本的な要因、がん対策等の医療施策、地域医療構想、消費増税に加え、新型コロナウイルス感染症のパンデミック等の特殊要因があげられる。

2022年度までの要因としては、コロナ禍の影響が大きく、プラス面としては感染拡大防止に関連した補助金・支援金を活用した治療機器購入拡大など、逆にマイナス面としては患者数減少による手術件数の減少などが挙げられる。さらに、世界的な材料費や輸送費の高騰による生産コスト上昇や、半導体不足の影響による納期遅延、円安による輸入製品の価格上昇等が加わっている。2023年度に関しては、補助金・支援金終了と電気料金高騰などにより、大規模病院で年間費用が2~5億円のアップとも言われている。また、2024年度から本格的に始まる医療従事者の働き方改革への対応などの経費増が病院収支に与える影響があり、一方で円安状況に変化はない。
こうした状況下であるが、コロナ禍で滞っていた更新需要が根強いこと、部材不足や物流問題などがおさまりつつあり、2023年度のME機器(治療機器)市場は前年度比7.7%増の1,935億900万円になると予測する。

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