岩手県立病院、赤字最大35.8億円 2023年度見通し

県立病院経常損益の推移

 岩手県医療局は21日、2023年度の県立病院(地域診療センター含む)の経常損益が35億8835万円の赤字となる見通しを示した。赤字幅は08年度の約28億円(決算ベース)を上回り、過去最大となる見込み。患者数の減少に加え、人件費の増加や燃料費の高騰が響いた。年度途中の推計で変動する可能性はあるが、大幅な赤字が避けられない状況だ。

 県議会議案説明会で補正した23年度県立病院事業会計予算案を示した。収益は10億402万円減の1177億2976万円に対し、費用は27億3041万円増の1216億7138万円。特別損失などを含めた差し引き損益は39億4163万円の赤字で、同様に過去最大となる見込み。

 収益悪化の要因の一つが新型コロナウイルス禍だ。院内の感染拡大を防ぐため診療制限を余儀なくされる施設もあり、入院患者数は107万3千人と当初見込みから7万2千人減る見通し。一方で、給与費は人事委員会勧告に基づく給与改定に伴い16億4800万円の増額、経費は燃料費の高騰などで6億9千万円の増加を見込む。

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