鹿児島市の西郷団地で、空き家を活用した地域住民の居場所づくりが進んでいる。鹿児島大学で建築を学ぶ学生、院生らの提案をベースに、地元住民が理想の空間を語り合い、改修作業にも参加。3月に完成予定で、主に子育て世代が集える場を目指している。
県の空き家利活用案コンペで鹿大チームが最優秀賞に選ばれ、県の助成を受けて昨春に本格始動。同市西陵2丁目7の7の空き家を借りられることになった。50年ほど前に建てられた60平方メートルの軽量鉄骨平屋で、15年ほど前から住民不在となっていた。
鹿大工学部建築学科の井尻敬天(よしたか)特任専門員(26)がまとめ役となり、西郷団地の街づくり団体「せごだん」代表で設計会社を営む志賀隆行さん(51)も出資。住民を交えてどんな場所にしたいか話し合いを重ね、屋根や庭、内装などの工事を進めてきた。
愛着を持ってもらうため、今年1月末から2月にかけては、内壁のしっくい塗りワークショップを計4回開催。子どもを含めた地元住民や鹿大生ら総勢約50人が、天井の骨組みが映える白い壁に仕上げた。
2月18日の作業には、家主で日置市に暮らす逆瀬川裕子さん(61)が長男を連れて参加。「子どもたちにとって祖父母との思い出が詰まった家。取り壊しも考えたが残したかった。地域のために生かしてもらえたらありがたい」と話した。
完成後は、貸しスペースとしても活用予定だ。「単なる改修ではなく、プロセスを通じて地域の人と関係性を構築してきた」と井尻さん。管理者となる志賀さんは「語らいの場として、特に子育て世代のお母さんたちが集える場にしたい。家でも学校でも職場でもない、もう一つの居場所にしていきたい」と意気込んだ。
3月23、24日には見学会を開く予定(駐車場なし)。問い合わせはインスタグラムyoridori.pjのダイレクトメッセージまで。