危険運転要件見直し開始 曖昧さ指摘、慎重意見も 法務省検討会初会合

危険運転致死傷罪に関する有識者検討会の初会合=21日午後、法務省

 自動車運転処罰法の危険運転致死傷罪の要件見直しの是非などを議論する法務省の有識者検討会は21日、同省で初会合を開き、検討すべき論点について意見交換した。今後は悪質、危険な運転による自動車事故遺族の意見聴取などを踏まえて第3回会合までに論点を取りまとめていく。

 検討会は裁判官、検察官、弁護士のほか交通事故遺族ら10人で構成。座長には今井猛嘉(いまいたけよし)法政大教授(刑事法)が就いた。

 初会合は冒頭を除き非公開で開かれた。法務省によると、危険運転致死傷罪を巡り「規定が抽象的で、適切な適用が困難な場合がある」「(スマートフォン操作などの)『ながら運転』にも適用するなど、対象とする類型を検討すべきではないか」といった指摘があったという。

 現行法は、高速運転の要件を「進行の制御が困難な高速度」としている。こうした要件は曖昧だと指摘する意見も上がった。また、処罰の対象を不当に拡大することで、責任の大きさに見合わない刑罰が科される恐れがあるなどとして、法改正に慎重な意見も出たという。

 第2回は3月に交通事故被害者団体のヒアリングを行う。第3回で論点を提示していく見通し。

 危険運転致死傷罪を巡っては、宇都宮市の新4号国道で2023年2月、オートバイの会社員男性が時速160キロ超だったとされる乗用車に追突され死亡した事故で、宇都宮地検が乗用車を運転していた被告を同法違反の過失致死罪で起訴。遺族らが危険運転致死罪への訴因変更を求めている。

 自民党が昨年12月、岸田文雄(きしだふみお)首相に要件見直しを提言し、小泉龍司(こいずみりゅうじ)法相が今年1月、検討会立ち上げを表明していた。

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