孤立や物資の遅れ防げ 栃木県、災害時救援ルート確保へ 能登半島地震教訓に計画

栃木県庁

 栃木県の福田富一(ふくだとみかず)知事は21日の県議会代表質問で、災害時に救援ルートを確保する「道路啓開計画」を策定する方針を明らかにした。能登半島地震で道路が寸断され集落が孤立したほか、物資輸送にも遅れが出たことを踏まえたもので、国や市町などと連携して早期に計画を策定し、災害に強い県土づくりを推進する。

 能登半島地震では道路の寸断により、奥能登地域で最大24地区、3千人以上が孤立状態となり、物資輸送や安否確認、救助対応が妨げられるなどの問題が発生した。

 道路啓開とは緊急車両の通行のため早急に最低限のがれき処理を行い、簡易な段差修正などにより救援ルートを設けること。県の地域防災計画では、大規模災害時の道路啓開に関して国や市町、自衛隊、建設関係、電気通信事業者と連携して重要物流道路や緊急輸送道路を優先して設けるとしている。

 すでに計画を策定している他の自治体では、対象となる災害や地域、道路被害の種別などを事前に抽出し、どのルートをいつまでに設けるかといった目標を明記。発災直後に各機関が取るべき具体的な行動計画(タイムライン)も定めている。

 福田知事は能登半島地震で道路が寸断され初動が遅れた教訓を踏まえ、計画策定のほか、同様の事態を想定した実践的な訓練を市町や警察、消防、自衛隊などと連携して実施することや、広域避難の在り方に関しても具体的な検討を進める考えを示した。

 福田知事は「被災地での支援活動で得た教訓や国の中央防災会議における検証状況も踏まえ、必要な対策の見直しを行い、地域防災計画に反映させる」と述べた。

 木村好文(きむらよしふみ)氏(とちぎ自民党議員会)と松井正一(まついしょういち)氏(民主市民クラブ)が質問した。

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