もう迷う必要ナシ!保険会社の創業者がズバリ答える保険選びの「最終結論」【出口治明氏が解説】

(※写真はイメージです/PIXTA)

いざというときのために保険は必要とわかっていても、どのタイプの保険を選ぶべきなのか迷ってしまうものです。本記事では、『働く君に伝えたい「お金」の教養 』(ポプラ社)から、著者の出口治明氏が「私に必要な保険って結局どれなの?」の悩みにズバリ答えます。

ライフステージ別オススメの保険

自分がどの保険を選ぶべきか悩んでいる人に向けて、ライフステージ別にオススメの保険を考えていきましょう。

独身の人は「就業不能保険」でじゅうぶん。死亡保険は無用

まず、独身のみなさんは、デメリットとして自分の生活を支えてくれる家族がいない反面、自分の収入で支える家族がいないというメリットもあります。自分ひとりが生活できればいいわけですから、「就業不能保険(※)」ひとつでじゅうぶんでしょう。

※病気やケガで働けなくなったとき、月々もらっていた給与のように給付金を受けとることができる保険。

ときどき、独身にもかかわらず自分に死亡保険をかけている人を見かけるのですが、こんなものは無用の長物。だって、自分が死んで蛇口が止まったところで、それ以上水槽に水は必要ないでしょう? 扶養家族がいないのですから。

パートナーがいる人には「就業不能保険」が必須

そして、パートナーと一緒に暮らしているみなさん。いまは、男女を問わず、正規・非正規を問わず、働き続けることを基本に考えたほうがいいでしょう。どちらかが亡くなっても、共働きをしていれば「生活できなくなる」ことはまずありません。パートナーの死は悲しいし、ひどく落ち込むことですが、自分が生きていく分には致命的ではないのです。

しかし、どちらかが大きな事故にあって、身体が思うように動かなくなったら大変です。家を買っていれば家のローンを払わないといけないし、ヘルパーさんを雇うにもお金はかかります。パートナーも看病のために長期で休みを取らないといけないかもしれず、それによって給与が下がれば、結果的には家計が火の車になるかもしれません。

そんなときのために、パートナーと一緒に就業不能保険を買っておくと安心です。これは、お互いへの愛情です。どちらかの蛇口が止まってしまっても、保険が適用されて月々10万、20万円と入ってくれば家計の負担はかなり軽くなります。それに、自分の看病・介護代は自分で捻出すると考えたほうが、世話される身としても気がラクというもの。愛するパートナーのためにも、自分のためにも、就業不能保険は必須です。

パートナーが専業主婦(主夫)/パートナーの稼ぎが少ない人は「死亡保険」も

どちらかが亡くなったあと、残されるパートナーの稼ぎが自立するには少ない、もしくはすでに専業主婦(主夫)になっている、という場合。このケースでは、養っているほう(稼ぎの多いほう)に死亡保険をかけたほうが安心です。稼ぎが多いほうが、就業不能保険と死亡保険の2つを買う。稼ぎが少ないほうは、買うとしたらシンプルな医療保険を選ぶのがセオリーです。

子どもがいるカップルは保険で「教育資金」を確保

子どもがいる場合は、少し状況が変わってきます。子どもが社会に出て働くようになるまでは、親が責任を持って育ててあげたいものですよね。親が子どもにあげられる最大のプレゼントは、教育。逆に言えば、親が先に死んだときに子どもが被る最大のリスクは、教育費の不足だと言えます。だからこそ、保険を使ってリスクヘッジをするのです。

子どもを大学まで入れるとき、

・基本的養育費約1640万円+教育費(いずれも22歳まで。基本的養育費とは、出産・育児費用、食費、衣料費、おこづかい、医療費などが含まれる)

がかかると言われています。下の図を見てください。

[図表1]

幼稚園から大学まですべて公立、国立の学校に通った場合、概算ですが、

・1640万円+1055万円=2695万円

のお金が必要になります。つまり、私立の学校に通わせる可能性も考えれば、子どもを社会に送り出すまで、だいたい2700万円〜4300万円は必要ということになります。

共働きであれば奨学金を活用してなんとか対応できたとしても、たとえば稼ぎが少ないほうだけ遺された場合、ちょっとしんどい額ですね。

子ども一人にごはんを食べさせるくらいなら、ひとり親でもなんとかなるかもしれない。けれど、なるべくいい教育を受けさせたいと思うのであれば、やはりお金が必要になるのが事実。

ですから、買うべきは死亡保険です。子どもができた時点で、稼ぎが多いほうのパートナーに2000万円〜3500万円の死亡保険をかけておくと安心です。そうすれば不慮の事故や病気で万が一のことがあっても、子どもの養育費は面倒を見ることができます。

そして、無事に子どもが社会に出たら死亡保険はいらなくなるので、掛け捨て型であればそのタイミングで解約できるわけです。

出口 治明

立命館アジア太平洋大学 学長特命補佐/ライフネット生命保険株式会社創業者

※本記事は『働く君に伝えたい「お金」の教養』(ポプラ社)の一部を抜粋し、THE GOLD ONLINE編集部が本文を一部改変しております。

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