ローン返済の期間による総額の違い
ローンには利息が付いているため、返済期間によって返済総額は変わります。貯金に余裕があるため、返済を繰り上げて終わらせようと考える方もいるでしょう。今回は、以下の条件で期間通りに返済した場合と繰り上げ返済した場合の総額を比べます。
__●ローン残高を1000万円とする
●返済期間は65~75歳の10年間
●固定金利で金利は1.1%、ほかの手数料については考慮しないものとする
●繰り上げ返済は1年後に一括返済の形で行うとする__
条件を基に、期間通りに返済した場合と1年後に一括返済した場合の比較は表1の通りです。
表1
※住宅保証機構株式会社「ローンの繰り上げ返済」を基に筆者作成
期間通りに返済した場合と比べ、1年後に一括返済すると利息が45万9394円安くなることが分かりました。
期間通りの返済と繰り上げ返済のメリット・デメリット
それぞれのメリットとデメリットを表2にまとめました。
表2
※参考サイトを基に筆者作成
期間通りに返済する場合は、少しずつ支払うので貯金にある程度余裕がある状態をたもてます。しかし、繰り上げ返済よりは利息が多くなる点がデメリットです。
繰り上げ返済をするとローン残高は早くなくなる一方で、手元の資金も一気に減ります。もし大きな病気やけがにより多額の費用が必要となったときに、支払えなくなる可能性もゼロではありません。
総務省「家計調査報告」によると、2022年の65歳以上夫婦の無職世帯は平均支出額が月に26万8508円であることが分かりました。1年に換算すると322万2096円です。一方で年金などの収入は平均で月に24万6237円であり、月額2万2270円、年間26万7240円不足します。
2000万円のうち1000万円を繰り上げ返済に使用し、残りの1000万円で不足分を補うと約37年もつと予測できるでしょう。ただし、急な出費や施設に入居する場合も考えると、年数は短くなる可能性もあります。
ライフプランも考えたうえで、一気にお金を使って返済しても問題ないか確認することが大切です。
繰り上げ返済の種類
繰り上げ返済には、大きく分けて期間短縮型と返済額軽減型の2種類があります。
期間短縮型とは、住宅ローンの支払期間そのものを短くする繰り上げ方法です。先述した繰り上げ返済の一括支払いも、期間短縮型にあたります。支払期間が短くなり、利息も減る点がメリットです。
返済額軽減型とは、支払期間をそのままに毎月の返済額を少なくできる繰り上げ方法を指します。月の費用負担が減るため、毎月の貯金もままならない、少しでも生活費の負担を軽減したいという方におすすめです。
どちらで繰り上げしたほうがお得になるのかは、契約内容によっても変わってくるため確認しておきましょう。
※出典:一般社団法人全国銀行協会「Q住宅ローンの繰り上げ返済、効果的に行うには?」
繰り上げ返済は老後の資金のことも考えて決める
繰り上げ返済をすると、支払期間が短くなって利息の総額が減るため、支払総額も安くなるメリットがあります。しかし、一気にお金が減るため、急な出費が発生した場合に対応がしにくい可能性も少なくありません。
期間短縮型も、返済額軽減型も、一時的に出費が多くなります。支払ったあとの生活に影響がないかなどを確認してから繰り上げ返済を検討することをおすすめします。
出典
住宅保証機構株式会社 ローンの繰り上げ返済
総務省 家計調査報告 家計収支編 2022年(令和4年)平均結果の概要(18ページ)
一般社団法人全国銀行協会 Q住宅ローンの繰り上げ返済、効果的に行うには?
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー