代執行承認は「違法」 辺野古新基地 住民らが国と県提訴 那覇地裁

(資料写真)那覇地方裁判所

 沖縄県名護市辺野古の新基地建設で、沖縄防衛局の埋め立て変更申請を国土交通相が承認した代執行は違法として、辺野古・大浦湾周辺住民ら30人は22日、国と県を相手に代執行承認の取り消しを求める抗告訴訟を那覇地裁に起こした。国の代執行に対して提訴を起こすのは全国初。代執行を認めた昨年12月の福岡高裁那覇支部判決など司法判断の不当性を指摘し、変更申請は公有水面埋立法の要件を満たさないと改めて訴える。

 住民側が県も被告としたのは、代執行されても、承認の行為は県側に帰属するとして国側が自らの被告適格を否定することを想定した。被告になる資格が国側にはないからなどと裁判所に入り口論で訴えを却下され、実体審理を避けられないようにする狙いがある。

 いずれも原告は埋め立て海域周辺の住民27人と、ダイビングガイドなどエコツーリズム業を営む名護市外在住者ら。埋め立て自体や、新基地完成後の使用で生命や身体、生活環境に係る被害を受けない権利利益が害されるなどと訴える。

 新基地建設を巡るこれまでの訴訟は、住民側の原告適格(訴訟を起こす資格)を否定されて実質的な審理が避けられ、県側の訴えは防衛局の申請が公水法の要件を充足するかなど中身の審理は尽くされていない。

 訴状では、軟弱地盤の調査が不十分・不適切などと指摘し、適法であるにもかかわらず県の不承認を取り消した国交相の裁決や是正指示は違法と強調。違法な裁決や是正指示が前提の代執行承認は「違法があることが明らか」としている。

 住民らの辺野古訴訟は今回の2件を含め7件目。不承認を取り消した裁決を巡る抗告訴訟は那覇地裁で係争中。埋め立て承認を巡る抗告訴訟の控訴審は1月に高裁那覇支部で結審し、判決期日は今後指定される。

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