【2024年】「定額減税」と「給付金支給」って結局どうなるの? 家族4人、世帯年収「300万円」のケースで解説

「給付金支給」が行われるのは「住民税非課税世帯」または「住民税均等割のみ課税世帯」

今回の制度においては各世帯に「給付金支給」もしくは「定額減税」が行われますが、給付金支給は「住民税非課税世帯」と「住民税均等割のみ課税世帯」に行われます。

今回は以下のモデルケースでシミュレーションします。

__・家族4人(世帯主、配偶者、16歳未満の子ども2人)

・世帯年収300万円(給与収入のみ、税込)

・収入があるのは世帯主のみ

・社会保険料支払額は年間46万円__

住民税均等割のみ課税世帯と判定される所得額は各自治体によって異なりますが、東京23区内の場合は次のように設定されています。

前年中の総所得金額等が、次の金額以下の世帯

__(1)扶養親族等がいない場合 45万円以下

(2)扶養親族等がいる場合 35万円×(本人・同一生計配偶者+扶養親族の合計人数)+42万円以下__

今回のケースは、(2)に該当しますので試算してみましょう。

35万円×4+42万円=182万円

よって、今回のケースでは所得金額が年間182万円以下の場合に、住民税均等割のみ課税世帯に該当することがわかりました。

一方、モデルケースの世帯(年収税込300万円)では、給与所得額の計算は以下のとおりです。

300万円-98万円(給与所得控除)=202万円

このようにモデルケースの所得額は202万円となりますので、「住民税非課税世帯」「住民税均等割のみ課税世帯」のいずれにも該当しません。

よって今回の制度では給付金支給でなく「定額減税」が行われます。

「定額減税」がされる時期と金額は?

2023年12月22日に閣議決定された「令和6年度税制改正の大綱」によると、定額減税は2024年6月に開始が見込まれています。金額の内訳は所得税3万円と住民税1万円の合計4万円で、納税者本人とその扶養家族が対象です。

今回のモデルケースは4人家族ですので、4万円×4人=16万円(所得税12万円、住民税4万円)が減税されます。減税は給与天引きされる税金が控除される形で行われますが、毎月の税金額が少なく控除しきれない場合は、翌月以降も満額の減税になるまで順次控除される予定です。

モデルケースの場合、1年間に支払う所得税と住民税額は以下のとおりです。

・所得税

課税所得:300万円-(98万円(給与所得控除)+48万円(基礎控除)+38万円(配偶者控除)+46万円(社会保険料控除))=70万円

課税所得70万円の場合の税率は5%なので、

70万円×5%=3万5000円

・住民税

課税標準額:300万円-(98万円(給与所得控除)+43万円(基礎控除)+33万円(配偶者控除)+46万円(社会保険料控除))=80万円

課税標準額80万円に住民税率は10%なので、

80万円×10%=8万円

このようにモデルケースの場合、1年間に支払う所得税は3万5000円、個人住民税は8万円程度と想定されるため、住民税の減税4万円分は約6ヶ月分の住民税が0円になる形で行われると予想されますが、所得税12万円分を控除しきるには3年以上かかってしまう計算です。

このような事態を防ぐため、政府は「定額減税しきれないと見込まれる人に、減税額確定(2025年3月の確定申告)を待たず、2024年に入手可能な課税情報を基に、前倒しで1万円単位で差額を給付する」という姿勢を示しています。

このとおりに制度が施行された場合、モデルケースでは所得税については、2024年における天引き額が0円になることに加え、定額減税しきれない所得税分の給付金が市町村から支払われると予想されます。

ただし、これは現在公開されている情報を基にした試算・予想ですので、今後新たに出される情報に注目していく必要があります。

まとめ

今回のケース(給与収入のみ、世帯年収300万円、家族4人のうち扶養家族3人)では、2024年6月以降から所得税と住民税の控除が始まり、年内に控除しきれない税金額分の給付が別に行われ、合計16万円の減税が行われる予定です。

給付が行われるタイミングや住民税の金額は各自治体によってばらつきがありますので、自分の場合はどうなのか気になる場合は、お住まいの自治体窓口などに問い合わせてみましょう。

出典

東京都主税局 個人住民税 個人住民税の非課税
財務省 令和6年分所得税の定額減税の給与収入に係る源泉徴収税額からの控除について
内閣府 新たな経済に向けた給付金・定額減税一体措置
国税庁 No.1410 給与所得控除

執筆者:山田圭佑
FP2級・AFP、国家資格キャリアコンサルタント

© 株式会社ブレイク・フィールド社