3人分の児童手当「600万円」が、姉の学費「だけ」に使われていた! これって不公平じゃないの?「贈与」や「窃盗」には当てはまる?

児童手当は親のお金

まず大前提となる話を整理しておきますが、児童手当は「親のお金」です。なぜなら、児童手当の支給対象者は、「12歳到達後の最初の3月31日までの間にある児童(小学校修了前の児童)を養育している方」となっているからです。

また児童手当制度の目的は、「児童手当制度は、児童を養育している方に手当を支給することにより家庭における生活の安定に寄与するとともに、次代の社会をになう児童の健全な育成及び資質の向上に資することを目的にしています」となっていることから、親が子どもを育てるために負担しなければならないお金の一部を、国が負担する制度であることがわかります。

兄弟姉妹から姉への贈与ではない

児童手当は親のお金なので、兄弟姉妹3人に200万円ずつ貯めていたお金の全額600万円を姉に使ったとしても問題はありません。そもそも兄弟姉妹のお金ではないので、兄弟姉妹から姉に200万円ずつ贈与したことにならないのです。

では、「親から姉への贈与 」と思うところですが、親が子どもの教育費を出すことは当然なので、「贈与税がかからない財産の贈与」であるとして贈与税はかかりません。

窃盗でもない

もうお分かりでしょうが、もちろん窃盗でもありませんね。親や姉が兄弟姉妹のお金を盗んだわけではないからです。姉が勝手に600万円使ったのであれば親からの窃盗になりますが、本記事では親が学費に使ったということなので該当しません。

親は事情を話すべきだった

兄弟姉妹が不満を持った理由は、姉に600万円使うにあたっての事情説明が事前になかったからでないでしょうか。自分のために用意されているお金が200万円あると思っていたのに、いつの間にかなくなっていたとなれば、不満どころか怒りを覚えるのが自然かもしれません。

「今回は姉に使ったけれど、兄弟姉妹の分もきちんと準備する予定でいる」などの説明を親はすべきでしょう。もし、姉に使うことでほかの兄弟姉妹の学費が奨学金を用いることになるのであれば、いずれ姉にも奨学金のように親に返済してもらうなどの対応をすれば平等かもしれません。

まとめ

児童手当は親のお金なのでどのように使おうと自由です。ただ、本記事で取り上げたケースは、兄弟姉妹間で不満が出るような内容でした。お金に関する不信感というのは一度抱くとなかなか消えるものではなく、家族間となると根深い問題になりやすいので、親は十分に注意する必要があるでしょう。

出典

厚生労働省 児童手当制度の概要
国税庁 No.4405 贈与税がかからない場合

執筆者:佐々木咲
2級FP技能士

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