【定年後も働きたい】今まで働いていた職場の「子会社」で、「派遣社員」として働くことはできますか?

1年以内に離職した者は、1年間は派遣として働くことはできない

労働者派遣法の第40条の9第1項では、1年以内に離職した者を、派遣社員として同じ会社に勤務させることを禁止しています。これは、企業が正社員の賃金を削るために派遣社員として働かせて、労働条件を切り下げることを防止するためです。

間に別の派遣会社が関与したとしても、離職した会社への1年以内の派遣は原則認められません。なお、ここでの労働者は正社員だけではなく、非正規労働者も含まれます。雇用形態を問わず、1日でも雇われていた場合には対象者とみなされるため、注意しましょう。

派遣禁止の判断は、事業所単位ではなく「事業者(会社)単位」で行われます。

例えば「A会社B支店」で正社員として働いていた方が、離職後1年以内に「A会社C支店」で派遣社員として働く場合は「同じ事業者」になりますので、派遣禁止に該当します。このことから、違う企業であれば定年後1年以内でも、正社員から派遣社員として働くことは問題ないといえるでしょう。

なお、今回のケースにもある子会社とは、一般的には50%超の議決権(株式)を親会社に保有されている会社と定義されています。親会社と子会社は別の法人であるため、1年以内の派遣禁止は適用されません。関連会社も同様です。

定年後であれば派遣社員として働くのは問題ない

離職後1年以内に、同じ会社で派遣社員として働くことは禁止されていることが分かりました。

しかし特例として、60歳以上の定年退職者が再雇用で働く場合は「問題ない」とされる可能性が高いでしょう。そのため、定年前に働いていた会社であっても、60歳を過ぎた定年退職後であれば、1年以内でも働けることになります。

定年後であれば子会社で派遣社員として働いても問題ない

派遣法第40条の9第1項によると、離職後1年以内に同じ会社で派遣社員として働くことは禁止されています。間に別の派遣会社が関与していても同様です。雇用形態を問わずに適用されるため、正社員ではなくパートやアルバイトとして雇われていた場合でも該当します。

しかし、60歳以上の定年退職者であれば、同じ会社で離職後1年以内であっても、派遣社員として働けるようです。なお、働いていた会社の子会社や関連会社での派遣採用を希望している場合は、事業者が異なるため、定年退職後ではなくても、離職後1年以内に派遣社員として働くことは可能です。

定年退職後に派遣社員として同じ会社で働きたいとお考えの方は、一度会社に、可能かどうかを確認しておくと安心でしょう。

出典

厚生労働省
雇用・労働 高年齢者雇用安定法の改正~70歳までの就業機会確保~
資料3 離職後1年以内の労働者派遣の禁止について(1ページ)
昭和六十年法律第八十八号 労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律 第三章 派遣労働者の保護等に関する措置 第三節 派遣先の講ずべき措置等 (離職した労働者についての労働者派遣の役務の提供の受入れの禁止) 第四十条の九

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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