カンヌ国際映画祭パルムドール受賞作『落下の解剖学』本編映像解禁 明かされる、家族の闇と真実

映画『落下の解剖学』場面写真(C)2023 L.F.P. – Les Films Pelléas / Les Films de Pierre / France 2 Cinéma / Auvergne‐Rhône‐Alpes Cinéma

第76回カンヌ国際映画祭にてパルムドールを受賞した映画『落下の解剖学』より、家族の闇と真実が裁判所で明かされる本編映像が解禁された。

本作は、カンヌ国際映画祭で審査員長を務めた奇才リューベン・オストルンド監督から「強烈な体験だった」と破格の称賛を得たヒューマンサスペンス。

人里離れた雪山の山荘で、男が転落死した。はじめは事故と思われたが、次第にベストセラー作家である妻サンドラ(ザンドラ・ヒュラー)に殺人容疑が向けられる。現場に居合わせたのは、視覚障がいのある11歳の息子だけ。事件の真相を追っていく中で、夫婦の秘密や嘘が暴露され、登場人物の数だけ〈真実〉が現れるが―。

本作は、カンヌ国際映画祭パルムドール受賞に加え、第81回ゴールデン・グローブ賞の脚本賞と非英語作品賞の2部門を獲得。先ごろノミネートが発表された第96回アカデミー賞でも作品賞、監督賞、脚本賞、主演女優賞、編集賞の5部門でノミネートを果たし、本国フランスで動員130万人超えの大ヒットを記録した。

監督を務めるのは、長編映画4作品目となる本作でパルムドールを獲得したジュスティーヌ・トリエ。主人公サンドラ役には、本年度の映画賞レースで主演女優賞の最有力候補となっているザンドラ・ヒュラー

この度、死亡した夫と妻サンドラ、生前に繰り広げられた壮絶な夫婦喧嘩の一部始終が<夫婦不和の証拠>として裁判所で暴露されるシーンが解禁された。「優しいふりして本当は汚くて意地悪」「40歳にもなって何もできないのは自分のせい」――法廷では冷静沈着なサンドラからは想像もつかない、辛辣な罵声が次々と流れ続ける。そして、傍聴席全体が衝撃と驚愕で包まれる中、彼らの息子ダニエル自らも両親の本当の姿を知ることになる。

トリエ監督は、人から発せられる<言葉>と、そこから伝わる内容を重視するため、本作において「回想シーンは使わない」と決めていたという。この映像で繰り広げられているのは、事実を振り返る回想シーンではなく、この録音を聞いた人が音声から想像した再現シーンだ。さらに、この音声が、夫が妻に隠れて録音していたものだということが明かされることによって、事件の真相がどこにあるのか、惑わされるシーンとなっている。一体何か真実で、どれが正しい記憶なのか?

映画『落下の解剖学』は、2月23日より全国順次公開。

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