ヤクルト投手陣どう変わる? 先発ローテ入り期待の新戦力…プロ13年目のリリーフ左腕も

◆ 新人で唯一の一軍キャンプ…即戦力右腕

2年ぶりのV奪回を狙うヤクルトは、先発・リリーフともに的確な補強を行った。浦添キャンプに参加したメンバーを見てみると、新人ではただひとり一軍キャンプ帯同のドラフト2位・松本健吾は先発ローテ入りへ期待がかかる即戦力右腕だ。

第1クールを終えた時点では「やっとプロ野球選手になったなという実感が湧いてきた。一つひとつクールごとにステップアップしていけたら」と話していた松本健。

ブルペンでは「周りの方々はすごいボールを投げていて、どうしても力入っちゃうところを自分でコントロールする」と、冷静にプロ1年目のキャンプに取り組んでいた。

スライダーやカットボールなど多彩な変化球が武器だが、その中でも「カーブは僕にとって真っすぐの質とかも関係して大事なボールでもあるので、カーブがしっかり投げられていれば、他の球種もどんどんよくなってくると思う」と話す。

また「カーブのバランスが悪いときは、フォーム自体もバランスが悪いときがあるので、そこがしっかり投げられていればフォームのバランスは悪くないという感じがする」と、自己分析した。

今キャンプは「開幕、シーズンに向けてという中でやっているので、ここで100%を持っていかないというか、しっかり慎重に。先発でいくつもりで準備しています」と、丁寧に言葉を紡いだ24歳。実戦デビューとなった2月21日の楽天戦(浦添)では、2回3安打無失点の好投を見せた。

◆ 今季70試合登板も…制球力が武器の変則左腕

リリーフでは、経験豊富なプロ13年目のベテラン左腕が大きな戦力となりそうだ。昨年オフにソフトバンクを戦力外となり、ヤクルト入団が決まった34歳の嘉弥真新也だ。

制球力が武器の変則左腕が一番大事にしていることがある。キャンプ中、小澤怜史とのキャッチボールで、相手の胸元にきれいに投げ込む姿があった。

「キャッチボールは一番大事なので、そこをしっかり。おろそかにしていたら一番ダメだと思うので、プロに入ったときからキャッチボールはしっかりしたいと思って、今までずっとやっています」

野球の基本であるキャッチボールを決しておろそかにしない。2017年から6年連続で50試合以上に登板している鉄腕だけに、言葉に重みを感じた。

「50試合はひとつの目標。一番はたくさん投げられればいいかなと。70試合でも。チームに貢献できればいいかなと思っています。競っている場面でも負けていても、使ってもらえれば嬉しい」と力強い言葉を残した。

嘉弥真といえば武器はスライダーだが、ブルペンで球を受けた捕手の松本直樹は「シュートもすごく良くて、真っすぐもスピードがあった。さすがだなと思いました。シュートは強さと曲がりもあって、コントロールもある」と絶賛していた。

その松本直とバッテリーを組んだ21日の楽天戦では9回からマウンドに上がり、1イニングを3者凡退に抑えた。

嘉弥真が加入したことで救援陣はさらに厚みを増すだろう。移籍組としては西武からトレードで加入した宮川哲とともに活躍が見込まれる。

オープン戦を経てシーズン開幕へと進んでいくが、百戦錬磨の嘉弥真は「アピールしていきます」と、新天地でもう一花咲かせるため、慢心はない。

先発では奥川恭伸の復活にも注目が集まるヤクルト。新人の松本健を含め、開幕ローテはどんな顔ぶれになるのか。そして、新たなリリーフ陣で勝利をつかみにいく戦い方にも注目したい。

取材・文=別府勉(べっぷ・つとむ)

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