「嘘つき増税メガネ」加藤こども相、支援金「月1000円を超える人も」発言に批判殺到…維新は「高齢者の窓口負担3割」を提言

加藤鮎子大臣(写真:つのだよしお/アフロ)

2月22日、加藤鮎子こども政策担当相は、少子化対策の財源として公的医療保険に上乗せする「支援金」の負担額について、1人あたり月平均で「1000円を超える人がいる可能性はある」と述べた。

衆院予算委員会での立憲民主党の石川香織氏への答弁。実際には、所得や加入している保険に応じて変わってくるという。

「政府は2026年4月から支援金の徴収を始め、初年度は6000億円、2027年度は8000億円、2028年度は1兆円を集める計画です。

岸田文雄首相は、2月6日の国会答弁で、2028年度は月平均で500円弱とする試算を明かしています。その後、加藤大臣は、2月14日の国会答弁で、2026年度は1人あたり月平均300円弱、2027年度は400円弱とする試算を明かしました。

これは、支援金の総額1兆円を、保険加入者およそ9000万人で割っただけの数字で、1人あたり1万1000円、月あたり900円ほどになります。ここから企業負担分(半額)を差し引くと、ざっと500円弱といった程度の試算です。

ところが、日本総研・西沢和彦理事が出した詳細な試算では、労使合計で共済組合1637円、組合健保1472円、協会けんぽ1025円となっています。また、75歳以上の後期高齢者では253円の負担が生じるとしています。

後期高齢者の負担が少ないのは、26年度と27年度、75歳以上の負担割合を全体の8%、74歳以下を92%にすると決めたからで、政府の試算はそのあたりを誤魔化そうとする意図がうかがえます」(経済担当記者)

立憲の石川氏は、西沢氏の試算を提示したうえで、「500円どころか、1000円を超える試算が出されている。国民の負担額が1000円を超える可能性があるのではないか」と問うた。

これに対し、加藤大臣は、「あくまでも500円弱というのは、加入者1人あたりの平均を示したもので、使用者(企業など)との折半となることから、表示の上では、加入者が実際に負担する額の倍近くになることもありうる」と述べた。

石川氏は、「負担が発生することは明らか。誠実に説明することが必要と思う。増税隠しではないのか?」とさらに問うた。

すると、加藤大臣は「歳出改革によって負担を軽減させ、軽減させた分だけ負担いただく設計をしている。追加的な負担が全体として生じることはないと説明している」と、これまでの答弁と同じ内容を繰り返した。

だが、月300円〜500円とされた負担額について、「1000円超もありうる」と加藤大臣が認めたことに、SNSでは批判的な声が殺到した。

《ステルス増税が確定しました 実質負担増にはならないは虚偽答弁でした》

《・・・国民には“支援金”という名の“増税”、自分たちは“還付金”という名の“脱税”》

《この負担金、子育て世帯からも取るとすると、何のための施策なのか分からなくなるのでは?》

《嘘つき増税メガネ。最初は500円、それで批判があったら分母を誤魔化して300円で、決まったら「実は1000円超える」》

一方、後期高齢者の負担が少ないのは問題だとして、日本維新の会は「支援金」ではなく、高齢者の医療費の窓口負担を増やす医療制度改革で確保するよう求めている。

2月20日のNHKの報道によると、維新は支援金について「現役世代のさらなる負担増となる」として反対の姿勢で、現在、年齢や所得に応じて1〜3割となっている高齢者の窓口負担を原則3割にするとしている。

また、毎月の医療費の自己負担に上限を設ける「高額療養費制度」についても、70歳以上の人を対象に、経済状況に応じて上限額を見直すという。

維新の音喜多駿政調会長は、2月21日、自身の「X」にNHKの記事を貼り付けたうえで、こう補足説明をしている。

《医療という巨大産業を構造改革して生産性を向上し、患者のために窓口負担を適正化(原則一律3割化)することで医療サービスの質を高め、結果、公費・社会保険料の負担は圧縮され新たな財源も生み出される。

そうすれば、少子化対策としての「支援金」などの新たな実質増税は不要になり、さらには現役世代の社会保険料を軽減することも可能になります》

SNSでは、維新の提言に賛否両論出ており、「納得できない」との声もある。一方で、加藤大臣の答弁は、国民だれもが納得できないことだけは間違いなさそうだ。

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