NTTイードローン、箱根消防とドローンを用いた要救助者捜索の効果検証を実施

取り組み背景

箱根消防は、行方不明者の捜索活動や火災発生時の消火活動における情報収集機能を強化するために、「2021年にドローンを導入(以下:箱根消防従来機体)」している。しかしながら、箱根町は山間部が多く、箱根消防従来機体では、山の起伏により送信機とドローンの間の通信(2.4GHz帯)が途絶する等により、例えば山の尾根を越えて目的となる場所まで飛行させることが難しい場合があった。

また、箱根消防従来機体が捉えた上空からの映像を箱根消防の通信指令室でもリアルタイムで確認し、対応指示を実施したいものの、そのような仕組みまで導入できていなかったという。加えて、政府方針に従ってセキュリティに配慮した機体の導入を検討している状況でもあった。

以上のような課題は、箱根消防のみが抱える課題ではなく、全国の消防が抱えている共通の課題となっている。そこで、箱根消防と連携し、「NTT東日本グループにおける通信インフラの災害対策のために導入が進むドローン(以下:ANAFI Ai)」、並びにANAFI Aiに付随して利用可能な、令和6年能登半島地震等でもNTT東日本グループとして運用実績のあるリアルタイム映像配信等を用いて、箱根消防従来機体との比較検証を実施することになった。

実証概要

  • 実証日時:2024年1月26日(金)9:00~12:30
  • 実証場所:神奈川県箱根町芦ノ湖西岸
実証内容

検証1

箱根消防従来機体では到達不可能だった範囲を超えたエリア(約1km先、尾根あり標高853m)に、要救助者を配置し、ANAFI Aiが到達可能か確認。なお、ANAFI AiはLTEを通じて送信機への映像伝送並びに機体制御が可能なため、今回はLTE上空利用サービスもあわせて利用。

検証2

要救助者の上空からANAFI Aiが捉えた映像を、箱根消防の通信指令室を模した環境(NTT横浜ビル)へリアルタイムで映像配信し、要救助者の状態並びに周辺環境を確認。

実証結果

検証1の結果

箱根消防従来機体では到達が難しい範囲まで、ANAFI Aiが到達することを確認できた。その際、尾根手前まで2.4GHz帯を用いて映像伝送並びに機体制御が行われ、尾根を越えるあたりからLTEを用いて映像伝送並びに機体制御が行われていることも確認できた。

箱根消防従来機体とANAFI Aiとの到達範囲の比較。箱根消防従来機体の到達範囲(左)とANAFI Aiの到達範囲(右)

検証2の結果

発見した要救助者を上空から撮影し、要救助者の状態並びに周辺環境を確認できた。その際、ANAFI Aiから送信機へLTE経由で配信された映像を、遠隔地へリアルタイム配信できることも確認できた。

要救助者を発見し、周辺環境等とあわせて確認(要救助者から85m離れた位置より撮影)
送信機画面上の映像

箱根消防のコメント

より広範囲な情報収集が可能になることを確認できた:
箱根町は山岳地帯のため、現状では地形を考慮して離陸地点を決定、そこまで移動してから飛行させる運用を行っています。箱根町は概ねLTEがカバーされているため、離陸場所の選択肢が広がるとともに、従来まで飛行を控えていたエリアまで飛行させることができるがわかりました。ANAFI Aiが電波状況を把握しながら、2.4GHz帯とLTE通信への切り替えが非常にスムーズに実施していることも確認できました。

より迅速な情報収集が可能になることを確認できた:
ANAFI Aiに搭載されているカメラ自体が4,800万画素ということもあり、要救助者の状態やその周辺環境まで非常にクリアに確認することができました。さらに、その映像を、通信指令室にリアルタイムで映像配信できることも非常に有効なことが確認できました。消防用途としては、ANAFI Aiの画質は十分に有効な品質であり、リアルタイム映像配信とあわせて、消防現場においてドローン利活用の幅が拡がることを確認できる検証となりました。

より安心な機体の導入にむけて:
安全保障の観点から、今後ドローンを購入する際には遵守すべき政府方針もふまえて検討していく必要があります。加えて、箱根消防だけで最新機体の目利きや導入後の不具合検証等を実施することは非常に難しいため、NTT東日本グループが導入し、実績を多数有するANAFI Aiは、いずれの面でも安心して導入できるドローンだと認識しました。さらに、機体価格が比較的安価な点も評価できます。

今後の取り組み

NTT東日本グループは、同検証結果をふまえて、全国の消防機関に対して「より広範囲・より迅速・より安心」なANAFI Ai等の最先端の機体、並びにリアルタイム映像配信サービスの紹介を強化し、新技術活用による消防分野における課題解決に取り組んでいくとしている。

▶︎NTT e-Drone Technology

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