秋田市外旭川に建設の新スタジアム 全体像明らかに 2032年完成目指すも課題山積

秋田市外旭川地区に建設が計画されている新たなスタジアムの全体像をブラウブリッツ秋田が明らかにしました。収容人数は1万人規模。観客席はすべて屋根で覆い全体の整備費は約90億円と想定しています。8年後の2032年の完成を目指しますが課題はいろいろとあります。

ブラウブリッツ秋田は県、秋田市とのこれまでの話し合いをもとに、施設の全体像や事業スケジュールなどを示した整備計画をまとめました。22日は非公開の会議で関係者がその内容を最終確認し公表しました。

整備計画には建設場所を、秋田市外旭川地区にある卸売市場の建て替えで生じる余剰地と明記しました。

ブラウブリッツ秋田 岩瀬浩介社長「地域に開けたスタジアムを実現していきたいというふうに思っております」

J1の舞台を見据え、いす席を約8000席、立ち見席約2000席と合わせて1万人を収容できる規模として、観客席はすべて屋根で覆う計画です。ピッチの利用はサッカーやラグビーなどの試合で年間50日、スポーツ教室などで50日程度を想定しています。そのほか多目的な活用が可能だと公共性を強調しています。

スタジアムの屋内部分で運動やイベントができるよう大きな通路を設け、災害が起きた時の避難所や備蓄倉庫としての役割も担います。新スタジアムは卸売市場の建て替え完了後2030年6月以降に、工事に着手し、2032年に完成するスケジュールを示しました。

続いては運営や費用について。ブラウブリッツを中心にスタジアムの整備会社を設立し、県と秋田市の支援を受け整備・運営する想定です。整備費は約90億円と見込まれ県、秋田市が3分の1=30億円ずつを負担し残る30億円を民間の資金で賄う計画です。スタジアムの維持管理と運営には土地の使用料含め年間で3億円かかるとする一方、利用料金などで見込まれる事業収入は1億3000万円と試算しています。

岩瀬社長「一番いいのは国からの大きな補助があって、地元自治体の負担が軽減できるというものの中でいいものが作れる。そして継続した運営ができるのが一番いいのかなと思いますので、それのベストって今の今、このスケジュールで決めるべきことなのかというと、僕はここでもう確定させるものでもないのかなと思ってます」

岩瀬社長は財源の確保をめぐり、民設民営以外の選択肢について今後も県や秋田市と検討していくと説明しています。

22日は秋田を訪れたJリーグの担当者にも新スタジアムの整備計画を報告しました。ブラウブリッツはこれまで、2026年度に着工すると説明したうえでJ1のライセンスを取得しています。しかし整備計画に記した本体着工は2030年6月以降。Jリーグ側からは間違いなく進展しているという評価もありましたが、厳しい指摘も受けたということです。

岩瀬社長「1つはこのスケジュールの部分といったところで、これまでいろんな議論をしてきた中で昨年6月に申請した段階の意向表明書という部分をベースに考えた時に非常に厳しい見方をせざるを得ないというお言葉をいただきました。このクラブ経営、いわゆるブラウブリッツ秋田のクラブ経営の規模に対して、民設民営のいまのベースで考えると30億円のクラブが資金を調達するというのをは、いささか非常に厳しい数字になっているのではないかなというふうなご指摘もいただきました。」

新スタジアムの整備を主体的に進めるブラウブリッツは今後、Jリーグの助言も受けながら県や秋田市とともに協議を続けます。まずは今シーズンしっかりと結果を残し、多くの人に見に来てもらいたいと強調しました。

岩瀬社長「このサッカーJリーグという価値をですね、やはりもっともっと自治体の皆様にも、そして市民県民の皆様にもご理解をいただくというのが僕らの役目かなと思っておりますのでそこに尽きるかなと思ってます」

整備計画は県議会と秋田市議会でもそれぞれ説明されることになっています。全体像がようやく見えてきましたが実現へのハードル、そしてJ1ライセンスの問題もあり、新スタジアムをめぐる議論はこれまでよりも具体性を伴いながらも課題解消に向けて議論が続くことになります。

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