「3万円は大きい!」「立ち行かなくなる…」給料を上げる企業と上げられない企業 背景にはともに「人手不足」が

2月22日、東京株式市場で日経平均株価がバブル期につけた史上最高値を超え、3万9,000円台に乗せました。景気のバロメーターとされる株価が好調な中、気になるのは、わたしたちの給料の行方なんですが、上げる企業と上げられない企業がありどちらも人手不足が背景にあるようです。いったい、何が起きているのでしょうか。

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<田子重レジチーフ 森陽香さん>
「めちゃくちゃうれしかったです。3万円上がるのはなかなか大きいので」

誰だって給料が上がると聞けばそれはうれしいものです。静岡県焼津市に本社を置き、静岡県内で14店舗を展開するスーパー「田子重」は、265人の全社員を対象に一律で月給3万円のベースアップを2024年1月から実施しました。

<田子重グロサリー 渡邉生幸さん>
「いま、物価高で、いろいろなものが高くなっているのと、子どもにもお金が掛かってくるので、貯めつつ、息抜きに自分のものを買いたいなと」

会社が給与アップを決めた背景にあるのは深刻な人手不足です。

<田子重 曽根礼助社長>
「弊社のような食品スーパーだと、朝が早いとか、土日の休みが少ないとか、かなり人集めには苦労しているのが実態」

なんと平均10%を超えるこれまでに例を見ない大幅な賃上げ。会社にとって大きな支出ですが、それでも実施する価値があると話します。

<田子重 曽根礼助社長>
「新入社員を獲得する際に他社と比較されたりして、魅力が高まらなければ、会社の門をたたいてもらえないので改善を行った」

日本経済界にとって歴史的な一日となった22日。東京株式市場では、日経平均株価の終値が3万9,000円を初めて超えました。バブル絶頂期の水準を超え、景気回復に期待がかかっています。

<連合静岡 角山雅典会長>
「今春闘は物価高を超える賃上げが必要でありますし、経済社会を変える転換点となる非常に重要な春闘になる」

静岡県内の労働組合でつくる連合静岡はきょう、2024年の春闘について「5%の賃上げ」を目標に掲げました。だいぶ強気の姿勢ですが、すでにこの水準を超える賃上げ回答も出ています。

静岡県磐田市に本社を置くバイクメーカー・ヤマハ発動機は、労働組合の要求に満額回答したと発表。賃上げ率は5.1%と連合の要求を超えるものになりました。

大手企業が賃上げに取り組む一方で、中小企業には人手不足ゆえの厳しさがあるそうです。

<ジップライド 高塚光明社長>
「売上げが思うように上がっていけない。中小企業は仕入れの部分でコストを下げるのが難しい状況」

静岡市にある唐揚げ専門店では食材がここ3年ほどで1,5倍から2倍に高騰。さらに経営に追いうちをかけたのが最低賃金の上昇です。従業員はパートやアルバイトが多いのですが、人材確保のために時給を上げざるを得ず、社員の賃上げをするほどの余裕がないといいます。

<ジップライド 高塚光明社長>
「サービス業は人件費率が非常に大きい。人を使わないで効率よく生産性をあげていかないと立ち行かなくなる」

専門家は経済界全体で賃上げの機運が高まることが重要だと話します。

<静岡経済研究所 大石彰男研究グループ長>
「賃金を高めて、人出不足を解消して、経済を発展させていく、こういった好循環が必要になってくると思う。企業にもその役割を期待したい」

給料上げるか、上げないか、企業は難しい判断を迫られていて、規模によって温度差が生じているようです。東京商工リサーチの調査によりますと、2024年度に賃上げすると回答した大企業は93,1%、一方、中小企業は84,9%と違いが出ています。とはいえ、全体的に賃上げへの機運は高まっているようで、多くの人が恩恵を受けられる結果となりそうです。

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