修正すればお咎めなしはやはりおかしい、地方からも政治改革を!/自民党裏金問題に地方の議員や新人も物申す!国と地方で乖離する「政治とカネ」事情①

選挙ドットコムはこの度、政治家(現職・元職・新人問わず)の意見を広く市民に伝える機能を拡充するため、毎月のテーマに沿って、選挙ドットコムサイト内「ボネクタブログページ」に投稿された応募ブログを基に、編集部がコラム化する新企画をスタートします。初回のテーマは、「政治とカネに物申す」!昨年末には、自由民主党の派閥による裏金問題が発覚しました。繰り返される「政治とカネ」問題について、現職の地方議員やこれから政治の道を志す新人たちはどのような問題意識を持ち、解決に向けて何をすべきと考えているのでしょうか。政治の「当事者」の生の声を寄せてもらいました。このコラムでは、各ブログの一部分を抜粋していますので、気になるブログは文末のリンクよりぜひ全文をご覧ください。

不公平感にこそ国民は怒っている。修正すればお咎め無しはおかしい

選挙ドットコム編集部は現職政治家や政治の道を志す方に提供しているサービス「ボネクタ」のブログ機能を利用する全てのユーザーに応募を呼びかけ、13件の応募をいただきました。その多くに共通していたのは「怒り」、そして政治不信が加速することへの「焦り」です。

「今回発覚した自民党の裏金問題は、国民の大多数を占める給与所得者の税に対する不公平感が、その怒りを爆発させたものだ」とみるのは神田直(かんだ・すなお)氏です派閥が政治家にキックバックしたお金を政治資金収支報告書に記載しなくていいと指示していたなど裏金であることが立証されれば「当然に課税所得となる」点に言及し、「納税というものは、1円でも誤魔化してはいけないものです。課税を意図的に逃れることは、『脱税』という経済犯罪を構成します。その点に、国民は強く怒っている」と、今回の問題に対する国民の怒りの源泉を分析します。

新人の城戸佳織(きど・かおり)氏は「過去30年、政治の失敗で日本が地盤沈下したことは明らかだ。もう放ってはおけないところまで来ている。そして日本の地盤沈下の1番の原因が『政治と金』だ」と問題意識を強めます。会社経営の経験から民間と政治家の金銭感覚が乖離しているとも指摘します。「個人事業主も含めた中小企業は1円単位の領収書を求められ、場合によっては金額にかかわらず『こんなの経費にできません』と税務署に言われたりする。例え単なる勘違いで過少に税金を払い、それが後から発覚した場合は追徴課税となる。今話題のパーティー券の場合は、修正すればおとがめなしというのはやはりおかしい」とし、「百歩譲って故意ではないと解釈しても、課税は免れられないのではないか」と追及します。

誤った「議員像」の蔓延は不幸。地方からも政治改革の風を!

政治・選挙にカネをかけない個々人の努力と工夫が進んでいても、「政治とカネ問題」は戦後長きにわたってなくならないほど根深いものです。そもそも選挙に多額のお金をかける必要がある状態が続くことは、議員のなり手不足にも拍車をかけるとの焦りを示すのは、無所属で活動するひるた浩一郎(ひるた・こういちろう)氏です。

首長でも議員でも、選挙とは「4年に1度失業の可能性がある」にもかかわらず、選挙にかかる経費が数百万円、数千万円かかるのが実情で「若者が政治家になろうとおもっても、『お金がかかりすぎる』ことは問題の一つ」と言いますまた、「憧れ方」という切り口からも問題提起します。「『政治家になれば、給与以外にもたくさんお金がもらえる! 』『裏金でいい女抱いて、いい車乗って、美味しいご飯食べられる』、そうした『夢』や『憧れ』を将来世代にもたせてしまって、志や想いがズレたまま政治家を目指されると誰も幸せになりません」「将来世代や子どもたちに対しての信用貯金を一気に失ってしまった。政治家と若者の距離が離れているいま、まさに痛恨の一撃だと感じます」と危機感を強めます。

裏金問題から派生する政治不信の問題は、派閥や議会の隔てなく議員や政治の道を志す人の社会的信頼を失墜させる可能性を孕んでいます。それによって、国会議員や地方議員がいなくなれば、私たちの生活に必要なことを決められず、お金や人を動かすこともできなくなり、社会的に機能不全に陥ります。なり手不足は回りまわって、国民に実害を与えることになるといえます。政治の世界に身をおく人たちからの怒りや焦りの声はより切実さを帯びているように聞こえます。

今回の自民党派閥による裏金問題は国会が舞台となっていますが、地方議員からも改善に向けた運動を起こすべきだ、という声もあがっています。

島根県・浜田市議会議員の芦谷英夫(あしたに・ひでお)氏は「『会計責任者が 秘書が』と政治が責任をとる姿が見えず、派閥の解散でお茶を濁すところにいまの政治の危機がある。このとき政治を根本から問い直す、政治の大改革をする動きがないところに、この先の我が国の政治の危うさを感じる」と日本政治の現状に厳しい認識を示します。その上で、「問題を中央政治のこととして他人事と済まさず、いわば御上から下々への政治風土を変えなければならない」とし、「地方政治は市民と直接向き合い政治を磨いている。地方は中央に寄りすがることなく、市民と培う政治的感性を磨き、中央へぶつける。これまでの政治風景を変える、地方政治、地方議員の役割は大きい」と住民に近い存在の地方議員だからこそできることがあると力を込めて語ります。

今回ご紹介したブログ一覧(ブログリンク/個人ページリンク)

【大東市】「政治とカネ」の問題の本質は「脱税」にあり[選挙ドットコム課題ブログ](神田直)神田直(かんだ・すなお)

政治と金の問題について城戸佳織(きど・かおり)

【政治】「政治とお金」単にお金だけの問題じゃない。将来世代の信用貯金を失くす痛恨の一撃だ!ひるた浩一郎(ひるた・こういちろう)

政治を地方から変える芦谷英夫(あしたに・ひでお)

(つづく)

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