メキシコのネオクラスト・バンド、ハバク初の国内流通盤が「3LA」からリリース

メキシコ国内外で多くの支持を獲得しているネオクラスト・バンド、ハバク(Habak)が2020年にドイツの名門「Alerta Antifascista Records」より発表したフル・レングス『Ningún Muro Consiguió Jamás Contener la Primavera』が、日本のレーベル「3LA -LongLegsLongArms-」より3月22日(水)に初の国内流通盤としてリリースされます。

犯罪率の高い都市としても悪名高きメキシコ・ティフアナにて結成されたハバクは、スパニッシュ・エモクラストの文脈を継ぎ足す現在進行形バンドの中でも最も注目すべき存在。2000年代に深い痕跡を残したスペインのEkkaia、Madame Germen、Das Plagueといったバンド達に代表されるエモーショナルな演奏と寂寥感のあるメロディ、キラーリフを踏襲し、長尺の楽曲の中でもドラマティックかつ緊張感を保つ表現力の高さは、2014年に「3LA」から再発プロジェクトが組まれ『Complete Discography』が発表されたスパニッシュ・ネオクラストの代表格・Ictusにも通じる魅力も。なお、「3LA -LongLegsLongArms-」ホームページに掲載されている特集「ネオクラストとは何だったのか」をあわせて読むと、Habakの音楽的背景がより伝わります。

先人達の意志を受け継ぎながらも、ハバクの表現の核にあるのは現代に生きる彼らが直面する悲しみ、絶望感、怒り。しかし渦巻く感情はネガティヴに絡みとられることなく芸術として昇華され、クラシカルな美しさとハードコアパンクの激しさが混じり合い音に体現されています。緩やかなパートも多く、エモ / スクリーモにも共鳴する部分もありますが、それは音だけではなく、内省的な世界観、歌詞、そしてAlex CFによるアートワークにも表現されており、花や虫、有機的な生態系システムを人間が作り出す資本主義的システムと対に置かれている点にも深い見解を感じさせます。深層にある表現には今の日本に住む我々としても無関係ではいられない問題意識があり、彼らの作品が国内盤としてリリースされる意義ともいえるでしょう。

バンドは2010年代中盤から活動を続けており、2020年代に入ってからはメキシコ国外にもその名が知られる存在となっているものの日本国内で流通するのは今回の作品が初。日本語対訳付となります。

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