17歳の秘蔵っ子、アントネッリ起用説を鎮めたいメルセデスF1代表「彼はまだFIA F2を始めていない」

 メルセデスF1のチーム代表であるトト・ウォルフは、イタリアの“新星”アンドレア・キミ・アントネッリが来年、ルイス・ハミルトンの後任としてF1に昇格するという期待をクールダウンさせようと、バーレーンでのプレシーズンテスト初日に大きな労力を費やした。

 このオーストリア人は「2月初めにルイス(・ハミルトン)にカーブボールを投げられた」という事実を隠さず、「来季2025年のドライバーを選ぶ時は逆のことをしたい」と付け加えた。

 7度のワールドチャンピオンであるハミルトンがフェラーリに移籍することを認めた際、ウォルフは自身が率いるチームのスタッフに、空席に座る最初の候補がアントネッリだと語ったことがリークされている。それにもかかわらず、ウォルフは公の場で話す度にこの可能性を軽視してきた。

 メルセデスのチームプリンシパルは、「キミ(・アントネッリ)が11歳の時から私たちのジュニア・アカデミーに在籍していることは明らかで、私たちは彼が日々に成長し、ステップアップしていくのを見るのをうれしく思っている」と改めて説明した。

 しかし、ウォルフはすぐにこう付け加えた。「私も彼のプレッシャーを少しでも取り除きたい。彼は17歳で、17歳になったばかりだ。たしかに彼はフォーミュラ・リージョバル・ヨーロッパ選手権のルーキーイヤーですでに勝つために必要なものを得ており、いずれはF1まで登ってくると思う。F1で非常に成功したドライバーのひとりになるだろう」

「しかし、彼はまだFIA F2を始めていない。彼らはバーレーンでの最初の数日間で困難なテストをしていたので、これがどのように展開されるかを見ていくことになる。だからこそ、実際にF1と重なっている最初の数レースが終わるのを待ちたいと思っているんだ」

 結論として、このオーストリア人は、「来年のF1にも非常に優れたドライバーがたくさんおり、来年のドライバーラインアップを決定する際にはすべてが考慮されるだろうが、それはすぐには実現しないだろう」と念を押した。

トト・ウォルフ(メルセデスF1チーム代表) 2024年F1プレシーズンテスト

 元上司の隣に座っていたウイリアムズチームのボスであるジェームズ・ボウルズは、はっきりと若いイタリア人ドライバーを称賛した後、2025年にメルセデスの育成ドライバーであるアントネッリを起用する可能性を低く見積もった。

「11歳のジュニアドライバーの面倒をみているとき、彼らが信じられないほど大成する、もしくは素晴らしい選手になるように見え、平均的なドライバーになるかもしれないとは思わない。キミ(・アントネッリ)の場合、FIA-F4での日が浅い時期に彼が非常にうまく成長していることがわかった。当時は何か別のことが起きていたのではないかと疑問に思ったほどだ」

 このイギリス人エンジニアは「私の見方では、キミがF1に出ることは間違いない」と断言したうえで、「ジュニアシリーズで信じられないほど素晴らしい成績を収めている。しかし、だからといって彼がウイリアムズにいるというわけではない」と釘を差した。

 この件について、ボウルズは次のように説明している。「来年についてはアレックス(アレクサンダー・アルボン)と契約しているし、ローガン(・サージェント)とも契約を結んでいる。さらにジュニアドライバー(ザク・オサリバン)もいる。あとは今後6カ月ですべてがどのように展開するかを見るだけの問題だ」

 以前にも指摘したように、ウイリアムズとメルセデスの両チームが彼を注視しているため、アントネッリの将来の動向はFIA F2のルーキーシーズンの序盤戦で決まるだろうが、いずれにせよ彼がグランプリドライバーになるかどうかよりも、“いつ”なるかが焦点となっている。

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