【高校受験2024】東京都立高校入試・進学指導重点校「日比谷高等学校」講評

【高校受験2024】東京都立高校入試・進学指導重点校「日比谷高等学校」講評

2024年度(令和6年度)東京都立高等学校入学者選抜(都立入試)の学力検査が、令和6年2月21日(水)に実施された。東京都教育委員会が2月14日に発表した最終応募状況によると、全日制は3万343人の募集人員に対して4万2,017人が志願し、最終応募倍率は1.38倍だった。

リセマムでは、SAPIX中学部(サピックス)の協力を得て、学力検査・進学指導重点校「日比谷高等学校」の講評を速報する。このほかの共通問題(全5教科)と進学指導重点校(全7校)の自校作成問題についても同様に順次掲載する。

日比谷高等学校<英語>講評

1.リスニング問題:小問数5

問題A、Bの二部に分かれています。Aは対話文と質問を聞き、与えられた選択肢から答えを選ぶ問題が3つ、Bは動物園の来園者に向けた説明と質問を聞き、適切な答えを選ぶ問題と英語で答えを記述する問題が1つずつという出題です。

2.対話文の読解(約1400語):小問数7

環境に配慮した新しいコンクリートや木材などについての対話文です。内容を正しく把握する上で、sustainableという単語がキーワードだったと言えます。問4は本文中の新しい建築資材を正しく表している図を選ぶ形式で、英文中の複数の情報を正確に理解し、イメージする力を問うものでした。図を選ぶ形式は2023年にも出題されています。また、問5で出題された30語以上の英作文では、都立日比谷高の特徴ともいえる、客観な視点でわかりやすく記述する力が求められました。

3.説明文の読解(約1010語):小問数8

脳の「忘れる」機能に着目した説明文です。2023年と比べ、出題形式に大きな変化はありませんでしたが、慎重に考えるべき問題が複数あり注意が必要です。下線部において筆者が意図するものを選ぶ問1は、代名詞の内容把握に代わる問題で、下線部前後の内容理解が問われました。本文中の空所に当てはまる語句を選ぶ問6は、空所の直前、直後の情報だけでなく、本文全体の内容から考える必要がありました。

4.自由英作文:小問数1

2023年に続き、複数の資料をもとに自分の考えを記述する形式でした。2つ目の資料で与えられた情報のそれぞれの利点を踏まえて、時間をかけずにまとめられたかどうかが重要でした。与えられた情報を正確に分析し、矛盾のない説得力のある文章を書く力が求められる難問でした。

日比谷高等学校<数学>講評

1.小問集合

平方根の計算、二次方程式、さいころの確率、データの活用、作図の5問構成でした。データの活用が出題されたのは初めてですが、丁寧に調べていけば正解することは難しくありません。日比谷高の受検生であれば、いずれもミスなく完答を目指したいところです。

2.二次関数

2つの放物線上の点を結んでできる図形に関する問題でした。いずれの問題も座標や線分の長さを正確に文字で表していけば、立式はしやすかったと思われます。問題文の長さや点の多さに惑わされずに、条件を正しく理解し、丁寧な計算をすることで正解を積み重ねたい大問です。

3.円

〔問1〕は角度の問題、〔問2〕(1)は合同の証明、(2)は面積と例年通りの出題でした。平行線と円と角の性質を利用することでうまく解法の糸口をつかむことができれば、計算量は多くありません。〔問2〕(2)も(1)の結果を利用すれば難しくありませんので落ち着いて対応したいところです。

4.空間図形

正方形の紙に光を当てたときの影の形を考察する問題でした。都立高の受検生にとってはあまり馴染みのないテーマであり、例年の「記述形式の小問」が「記号選択の小問」になるという形式の変化もあったため、戸惑った人も多かったと思われます。また、。問題文を正確に読み取り、図形の動きを正しく把握できたかどうかがポイントですが、最後まで完答できた受検生は多くないと思われます。

日比谷高等学校<国語>講評

1.漢字の読み取り

例年高難度でしたが、2024年は標準的な難度の5問でした。故事成語を読ませるものも出されました。

2.漢字の書き取り

四字熟語を含む5問が出されました。個々の漢字は難しくないものの、意味の浮かびづらい熟語もあり、例年通り高難度なものも含まれました。

3.河﨑秋子『温む骨』

陶芸家が自身の仕事のあり方について苦悩する場面を描いた小説文からの出題でした。現代が舞台の文章で、読み取り自体の難しさはなかったと思われます。制限字数80字の記述1問と、記号選択6問で構成されていますが、文章内容の把握ができていれば、悩まず解答できる難度でした。

4.大塚淳『深層学習後の科学のあり方を考える』

AIによって科学がどうなるのかを述べた論説文からの出題でした。2023年より文章量も増え、科学の歴史まで言及するなど文章難度は高いものでした。例年通りの制限字数250字の作文と記号選択のほかに、抜き出しが1問出されましたが、文章内容をまとめた文章に当てはめる形式で、難度は標準的でした。

5.中西進『万葉のことばと四季』

和歌を詠む際に花を含むことの意義について述べた文章からの出題でした。和歌が複数引用されていますが、直後の現代語訳や筆者による解釈を理解できれば、内容把握で苦戦せずに済んだと思われます。字数指定のある抜き出しが3年ぶりに出されたほかは、例年通り記号選択4問でした。まぎらわしい選択肢も含まれていて、文章内容の丁寧な読解が求められました。


このレポートは、2024年2月22日(木)に速報としてSAPIX中学部が作成したもの。

協力:SAPIX中学部

編集部

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