賀来賢人、忍者役作りで初の15キロ増「筋肉を大きくしました」Netflix「忍びの家 House of Ninjas」企画持ち込み一人二役

By GetNavi web編集部

現代の日本を舞台に、最後の忍び一家・俵(タワラ)家が国家を揺るがす危機と対峙していくNetflixシリーズ「忍びの家 House of Ninjas」。2月15日(木)に配信されるや否や世界92の国と地域でTOP10入りし、Netflix週間グローバルTOP10(非英語シリーズ)で初登場2位にランクイン。全世界で大ヒット中の本作において主演、原案の一人二役をこなした賀来賢人さんに、個性的なキャスト陣と、世界的に活躍するスタッフ陣が集結した本作の制作秘話を語ってもらった。

賀来賢人●かく・けんと…1989年7月3日生まれ。東京都出身。2007年に映画『神童』で俳優デビュー。主な出演作に映画『新解釈・三國志』、『今日から俺は!!劇場版』(2020)、『劇場版TOKYO MER〜走る緊急救命室〜』(23)、ドラマ『今日から俺は!!』(2018・日本テレビ系)、TBS日曜劇場『半沢直樹』(2020)、『TOKYO MER~走る緊急救命室~』(2021)、『マイファミリー』(2022)など。映画『金の国 水の国』、『劇場版 SPY×FAMILY CODE: White』(2023)では声優も務めた。Instagram/X

【賀来賢人さん撮り下ろし写真】

「家族を通して懸命に生きている人たちを描きたかった」

──原案と主演を担うNetflix「忍びの家 House of Ninjas」では、原案としても名を連ねている賀来さん。企画の発端を教えてください。

賀来 子どもと忍者のテーマパークに行った時に、日本人として“忍び”というカルチャーがおざなりになっていると感じたんです。子どもや外国人観光客は興奮しているのに、僕たち大人は「忍者なんて現代にいないし」と言う。そういう感覚がもったいないなと。そこで忍びをエンタメに昇華できたら、世界中が楽しめる作品になるだろうなと思いつきました。

──思いついてから、どのように作品に落とし込んだのでしょう?

賀来 作品を作るうえで僕の中に2つのキーワードがありました。1つは「忍者」。もう1つは「家族」。やりたかったことの一つが「普遍的なモノ」で、「全世界で普遍的なテーマって何だろう」と考えた時に家族が思い浮かんだんです。年齢幅の広い大家族かつ、かわいらしい家族にしたかった。同時に、家族を通して懸命に生きている人たちを描きたかったんです。

──原案には、賀来さんを含め村尾嘉昭監督と今井隆文さんが名を連ねていますが、どのように作業を進めていったのでしょう?

賀来 ドラマ『死にたい夜にかぎって』(2020)でご一緒した村尾嘉昭監督と、コロナ禍の緊急事態宣言の時に「何か作品を作ろう」と話していました。でも途中で「俺たち文章が書けないね」と気づいて(笑)。脚本も書ける役者の今井隆文くんに入ってもらいました。僕たちが話すことを文章にしてもらい、それをNetflixに提出しました。

──企画を提出した時の手応えはいかがでしたか?

賀来 常に根拠のない自信があるタイプなので、「これは絶対いける!」という感覚でした(笑)。実際にNetflixの方も可能性を感じてくださり「キャラクターとストーリーにもっと広がりがあるほうがいい」と、クリエイターであるデイヴ・ボイルさんと繋げてくれたんです。

──監督と脚本に名を連ねている方ですね。

賀来 デイヴはアメリカ人ですが日本のカルチャーに造詣が深く、忍者に強く興味を示し、僕たちの作った企画書を何十倍にも広げてくれました。例えば忍者には、肉を食べちゃいけない、酒を飲んじゃいけない、セックスをしちゃいけない……たくさん縛りがある。そんな面白いキーワードをピックアップして、窮屈な忍者を表現してくれました。彼がいなければこのストーリーは作れなかったです。

──俵家の父役の江口洋介さん、母役の木村多江さん、長男役の高良健吾さんはじめ、俵家以外のキャスト陣も実力派・個性派揃いですが、キャスティングにも賀来さんは関わっているのでしょうか?

賀来 はい、僕が直接お願いをした方もいます。カメラマンには江原祥二さん、照明には杉本崇さんなど、日本映画界のオールスターのような超一流の方々が集まってくださいました。そこにピヨピヨの僕と、アメリカから来たクリエイターという不思議な組み合わせで、最初は皆不安だったと思います。でも誰もが常に提案をしてくださり、想像を遥かに超えるセッティングをしてくださり、助けられまくりでした。やっぱり一流ってすごいなと感動しました。

一番に考えた「どれだけ居心地の良い環境で仕事ができるか」

──共同エグゼクティブ・プロデューサーとして、現場では何を意識しましたか。

賀来 皆さんがどれだけ居心地の良い環境で仕事ができるかを一番に考えました。特に役者は、どんな脚本でも「これでは動けない、会話ができない」という状況が生まれることがあります。僕自身が役者なので、皆が迷いを感じていたら、すぐに飛んで行きました。

──予算管理も賀来さんがされたのでしょうか? セットやCGなど、かなり豪華でした。

賀来 僕に予算の判断はできなかったので担当者に任せましたが、プロデューサーは頭を抱えていましたね(笑)。例えば江原さんは推進力がすごくて「ここはクレーンじゃないと撮れないよ、持って来て!」と、どんどんクリエイティブを提案してくれる。林田さんが作ったセットも、とんでもなくすごいです。日本家屋を一軒建てたようなもので、実際に住めるくらいの完成度でした。アクションは基本的にCGなしでやる予定でしたが、予想外のCGも結構ありました。

──原案兼主演として、お芝居でのやりにくさはなかったですか?

賀来 撮影に入るまでは両立が難しいと思っていました。でも原案から関わり時間をかけて準備を進めていったからこそ、作品に対しての理解が深く現場で迷うことがありませんでしたね。

──監督との話し合いは、どういう場面ですることが多かったのでしょう?

賀来 全シーンを、事前に話し合うようにしていました。直前の話し合いは絶対に事故が起きると思ったので、なるべく前に解消しておきたかったです。撮影終わりに、翌日のシーンについて監督陣とディスカッションを重ねました。客観視はできていたのかなと思います。

──主演ということで座長的な役割も意識しましたか?

賀来 これまでも主演であっても、僕は意識しません。僕が楽しそうにしていたら、みんなも楽しそうになると勝手に信じています。

──ちなみに今後監督兼主演に興味はありますか?

賀来 監督たちから「もしシーズン2があったら、一話でも撮ってみたら」と言われたんですが絶対に無理ですね。体力的にも難しく、監督も役者も疎かになってしまうなと。次は自分が役者として参加しないで、プロデューサーに専念してみたいですね。

母役・木村多江さんは「これまでのイメージを覆す」

──賀来さんの肉体美が服越しでも伝わってきたのですが、ボディメイクやアクションの事前準備はどのようにしていたのでしょう?

賀来 一度、体重を15キロぐらい増やし、そこから体重は落として筋肉を大きくしました。アクションも、半年ぐらい前からコンディションを整え始めましたね。僕ができていないと、他のキャストさんに示しがつかないですから。

──そこまで体重を増やしたことはこれまでありましたか?

賀来 初めてです!

──アクション面は、どんなことを意識しましたか?

賀来 今回のアクションはド派手なものというよりは、地味で実践的な殺陣でした。あくまで忍者というカテゴリーで表現しなければ、忍者という文化にも失礼だし、世界の人たちもがっかりすると思ったんです。伝統から抜けられない古いタイプの忍者が令和に生きている姿を描いているので、アクションも伝統を守った殺陣に徹底しました。

──女性陣のアクションが、男性陣に引けを取らないなと感じました。

賀来 そうなんですよ! 俵家で言うと、(木村)多江さんはこれまでのイメージを覆すぐらい動ける方なのです。(蒔田)彩珠ちゃんも、最初はストレッチの段階で体が硬かったのに、どんどん動けるようになって。女性陣は本当にかっこよかったです。

──「かわいらしい家族にしたかった」というお話もありましたが、家族の描き方でこだわったポイントを教えてください。

賀来 いかに説明を省いて、短いセリフと表情で、家族というものを伝えられるかが大きなチャレンジでした。あと俵家は、子どもからおばあちゃんまでいるので、幅広い視聴者が感情移入できるようにしました。そして家族全員が主役であることが今回のテーマですね。一応僕が主演となっていますが、出演時間は他の家族と変わりません。家族一人ひとりが葛藤や謎を抱えていて、それを丁寧に描いていく。キャラクターの個性が少しずつめくれていく構成にしました。すごく難しいやり方ですが、丁寧にめくれればめくれるほど、視聴者はこの家族に共感してくれるんじゃないかなと。

──俵家は伝統的な家族ですが現代的なところもあり、特に木村さん演じる母親は行動もぶっ飛んでいますよね(笑)。

賀来 やっぱり女性は強いですよ。一方で江口(洋介)さん演じる父も、普段はパッとしないけど、ここぞというときは誰よりも家族を守るヒーローになる。その姿を見て娘も見直す。そういう構造を作りたかったんです。

──もうすぐ配信が始まります。今はどんなお気持ちでしょうか?

賀来 今日のような取材も含めて、いろんな方の意見を聞くと、改めて見る人によってさまざまな視点や楽しみ方があるんだなと思います。今までは役者として「ここを見てほしい」と思うことがありましたが、今回は「面白かった」と言ってもらえたらいい。視聴者の娯楽の一部になれば、どういう解釈でもいいんです。本作がきっかけで忍者や日本の文化に興味を持っていただけたらうれしいですね。

Netflixシリーズ「忍びの家 House of Ninjas」

Netflixで独占配信中

(STAFF&CAST)
出演:賀来賢人 江口洋介 木村多江 高良健吾 蒔田彩珠 吉岡里帆・ 宮本信子 ・田口トモロヲ 柄本時生 嶋田久作 ピエール瀧 筒井真理子 番家天嵩 山田孝之
原案:賀来賢人 村尾嘉昭 今井隆文
監督:デイヴ・ボイル 瀧本智行 村尾嘉昭
脚本:デイヴ・ボイル、山浦雅大、大浦光太、木村緩菜
エグゼクティブ・プロデューサー:佐藤善宏(Netflix)
プロデューサー:神戸明
製作プロダクション:TOHOスタジオ
製作:Netflix
Netflix公式Instagram:https://www.instagram.com/netflixjp
Netflix公式X: https://twitter.com/i/broadcasts/1YqGoDZZANEJv
Netflix公式YouTube: https://www.youtube.com/watch?v=qmaDgyhEEzA

(STORY)
古く巨大な屋敷に暮らす俵一家。自動販売機の補充をするアルバイトを続ける次男の晴(賀来賢人)は孤独な毎日を送っていた。実は俵家は、服部半蔵直系の最後の”忍び”ファミリー。かつては家族全員がエリートの”忍び”として、BNM(=忍者管理局)から重宝される存在だった。しかし6年前、死闘の末長男の岳(高良健吾)を失い、一家は”忍び”の世界から完全に足を洗うことを決意。晴のささやかな楽しみは、仕事の後に訪れる牛丼屋で毎日顔を合わせる可憐(吉岡里帆)の存在。勇気を振り絞って話しかけることに成功した晴は、徐々に可憐との距離を縮めていく。しかし可憐は雑誌記者で、晴に接近する“ある目的”があった。可憐と行動を共にするうち、晴は辻岡と自身の強烈な因縁に気付き始める──。

撮影/中村功 取材・文/猪口貴裕 スタイリスト/小林新(UM) ヘアメイク/西岡達也

© 株式会社ワン・パブリッシング