茨城県予算案 人口減対策に重点 外国人材確保やデジタル人材育成 「新しい茨城づくり」 一般会計1兆2511億円9000万円

茨城県は22日、2024年度当初予算案を発表した。一般会計は1兆2511億9000万円で、前年度当初から3.2%減となった。大きく減った新型コロナウイルス感染症の関連分を除けば、総額は過去最大。外国人材確保やデジタル人材育成、輸出振興など、深刻化する人口減少への対策を重点に据え、変化に備えた「新しい茨城づくり」を進める。

一般会計は過去2番目の規模だった前年度から410億円減った。一般会計のうちコロナ関連分は、当初予算ベースで前年度から約756億円減の512億円となり、関連分を除いた総額の前年度からの伸び率は3.0%。

県税収入は2.1%減の4180億円を見込む。国の定額減税に伴い個人県民税が減少したほか、資源高騰が一服したことによる輸入額の減少を想定し、地方消費税も減収する見通し。

予算案の骨格は「活力があり、県民が日本一幸せな県」の実現に向け、県総合計画に定めた①新しい豊かさ②新しい安心安全③新しい人財育成④新しい夢・希望-の「四つのチャレンジ」の加速を目指す。

主な事業のうち、「豊かさ」では、人口減対策として、外国人材の確保や育成に1億9700万円。大学や企業と連携し、留学生向けインターン定例化のほか、海外教育機関との日本語講座運営などにより、県内就職を支援する。

「安心・安全」では、在宅介護、看護現場で医療福祉従事者向けハラスメント対策のための相談窓口を設置し、労働環境の改善を促す。病院内で不足する薬剤師確保を目指し、奨学金返済支援や修学資金貸与への予算も盛り込んだ。

「人財育成」では、成長分野強化のため、高校でのデジタル技術を活用した教育環境整備を進める。日本語が話せない外国人児童生徒を、公立小中学校に受け入れるための体制も整えるなど、外国人向け生活支援も図る。

「夢・希望」では、国内市場の縮小に備え、海外販路開拓に5億2600万円を充てる。現地でのプロモーションや専門家による伴走支援で、農林水産物、加工食品、工業製品の輸出を拡大する。台湾や韓国からのインバウンド(訪日客)需要をさらに取り込むための施策も講じる。

大井川和彦知事は22日、「企業誘致や観光の魅力創出など、(これまでの)成果を引き上げる施策をまとめた。海外の力を取り込み、経済を発展させながら県民の安心安全に向けた取り組みを促進する」とのコメントを出した。

特別会計、企業会計を含む全体の公共事業費は1.1%増の1101億円。国の経済対策分などを合算すると1384億円となる。関連議案は29日開会の県議会第1回定例会に提出する。

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