小関裕太がいま深めていきたいものとは? もの作りへのチャレンジと充実の5年間を語る

2月17日に東京・品川インターシティーホールで開催された小関裕太の単独ファンイベント『colorful』。5年ぶりとなるイベントは昼夜の2回行われ、計1300人が来場した。ここではイベント後、記者向けに開催された小関への囲み取材の模様を紹介する。

――5年ぶりの単独イベント。タイトルの『colorful』にはどんな思いが?

小関裕太(以下、小関):僕にとってコロナ禍期間は、色に例えると白黒のような、モノクロのような日々がずっと続いていました。当時は「少しずつでも色づけていこう」ともがきながら走る毎日でしたが、ときを経て、まだ完全とは言えないかもしれないけれど、より色づきが増している気がして。みなさんとお会いするこの1日、このイベントが色づいているものになったらいいなと思って、『colorful』という名前にしました。

――実際にイベントを終えた感想は?

小関:会場に奥行きがあってどうしても距離感が出てしまうので、最初に後ろから登場して、会場内をぐるぐると回らせていただきました(笑)。“ステージと客席”というよりは“直接お会いできる場所”にしたかったので、それが叶ってすごく楽しかったですし、嬉しかったです。

――イベントでは、ゲストの工藤秀平さんと楽曲「ぜんぶ、うそ」も披露されました。

小関:この歌はコロナ禍のすごく悶々としてる中で、工藤秀平さんの家に泊まり込んで作った、本当に手作りの作品です。編曲した方もみんなそれぞれが飲み友達で、ぬくもりを大事にしながら作った楽曲ですし、曲にも「また会う日には、お互い笑顔で会えたらいいね。全部嘘のような日々にしたいね」という思いが込められているので、直接お届けできてすごく嬉しかったです。

――ショートドラマ『メロスの誕生』をはじめ、小関さんはもの作りにもチャレンジされていますが、今後挑戦したいことはありますか?

小関:もともと好奇心があるほうで、絵を描くのも好きだし、キャンプも好きだし……いろいろあるんですけど、役者としてのベースはありつつ、今は写真を深めていきたいという思いが強いです。機材を増やすというより、技術をどんどん広げていきたいなと。レフ板で太陽光を利用して顔をより明るく写す技法だったり、スモーク液を自分で買って、「この液とこの液を合わせると、このスモークができる」みたいなことをやってみたり。そういう研究が面白いので、その成果を一つの作品だったり、かたちにできたらいいなと思っています。

――映像作品としては、どんな作品が撮りたいですか?

小関:役者として、やっぱり監督の目線はすごく気になるので(監督業に)興味があります。監督やプロデュースをするならば、僕は台湾映画のようなゆったりとした映画が好きなので、そういう作品を作ってみたいですね。

――ちなみに、共演してみたい俳優は?

小関:(熟考して)……満島ひかりさん。以前ご一緒させていただいて、お芝居がすごく好きなんです。満島さんの出演作にも好きな作品があって、僕の“学生時代の思い”みたいなものもあるので、いつか満島さんとディスカッションできたら嬉しいです。

――5年ぶりの単独イベントですが、あらためてこの5年間を振り返っていかがですか?

小関:予想外の役をいただくことが多かったですね。これから公開される映画『恋わずらいのエリー』の先生役もそうですし、何股もしているヤバいドクター役とか、人を殴り殺しちゃうような無惨なキャラとか、僕にはとても共感できなくて、見ている方に嫌われるような役にも挑戦させてもらいました。ちょっとエッチな作品もシリーズでずっと続けさせてもらっていたり(笑)、今放送中の時代劇『大奥』(フジテレビ系)ではまっすぐな料理人の役をやらせていただいたり。いろんな役や作品にたくさん携われたので、豊かな5年間だったなと思います。

――その中で成長したことは?

小関:舞台作品ですかね。もちろん映像作品もそれぞれの役が初挑戦なので、1回1回集中して身を粉にしてやっていますけど、舞台はどうしてもお客様との距離が近いし、リテイクができない環境下でもあるので。僕、去年は王の役が多かったんですよ。『キングダム』にはじまり、『ジャンヌ・ダルク』でも王をやらせてもらって。20代前半のときは、そういう役をやることが想像できなかったので、かなり挑戦的でした。特に(声を張って)「みなの者、よく聞け!」みたいな、王らしい貫禄のある声を手に入れられたことがすごく嬉しかったです。

――来年30歳ですが、節目の年が近づいてきた今のお気持ちは?

小関:めちゃくちゃ楽しみにしているんです、その日を。19歳のときに、「もう少しで20歳だ」と思って、お酒も解禁されるし、出会いもより多くなるだろうし、どんな大人になるんだろうなと楽しみにしていたんですけど、1年前、9カ月前とだんだん20歳が近づくにつれて、「あれ? 僕ってこのまま大人になるのかな」と思ってしまって。20歳になることで(物理的に)大人になるのではなくて、20歳になるまでの20年間にどんなことを経験するかで「その人の“大人”が決まる」ということに気づいて、結構焦ったんですよね。そこで19歳の後半からアルバイトを始めてみたり、車の免許を取ったり、初めての一人海外旅行でニューヨークへ行ってみたり、いろんなものにチャレンジして、もう経験できるものを全部叶えて、息はぁはぁでようやく20歳になれた……みたいな誕生日だったんです。僕なりの20歳にはなれたのでよかったなと思うんですけど、「じゃあ次、30歳になるときもそうかもしれない」と。そのとき、役作りと同じように考えたら、10年間も自分の理想の30歳に向けて準備できる期間があると感じて。今度は余裕を持って、胸を張れる30歳をめがけて走っていきたいなと思いました。それを一つずつクリアして、自分の思う30歳の目標を達成できたなと思えるタイミングがあったので、あとはプラスアルファだと思いながら過ごしています。

――ちなみに、どんな30歳になりたかったのでしょうか?

小関:僕はハンカチを持っている30歳が目標だったんです。ハンカチは毎日使うもので、それを洗濯して、干して、アイロンがけをする。そこに時間を割くことって、心に余裕がないとなかなか難しいじゃないですか。そういう一つ一つの細やかなことに丁寧に向き合える30歳になりたいと思っていました。あっ! まだひとつ叶っていない目標がありました。バーボン片手に、夜な夜な靴磨きをする30歳(笑)。まだ僕はそこまで心に余裕がないので、少しでも早くそこに近づけたらいいなと思います。

――5月には、舞台『ロミオとジュリエット』の公演が控えています。

小関:心待ちにしているし、構えてもいます。『ロミオとジュリエット』は世界中で知られている作品ですし、日本国内でもいろいろなバージョンが上演されてきた中で、僕は今回、小池修一郎さんが演出・潤色されるロミオを演じます。でも、楽しみの方が大きいかな。僕が今まで経験したミュージカルの中で、一番個人で歌う曲数が多いので緊張はするんですけど、毎日のように楽譜を開いて歌っています。実は僕、タップダンスがこの世界に入ってきっかけで。『メリー・ポピンズ』を観てタップダンスのスクールに通い始めて、気づいたらこういう活動していたんです。その話を小池先生にしたら、「『僕は怖い』という歌の中でタップダンスをしよう」と言っていて、「いやいや」みたいな(笑)。どんなロミオになるのか、僕自身も楽しみにしています。

――最後に、ファンのみなさんにメッセージをお願いします。

小関:今回5年ぶりに個人のイベントを開催できて、たくさんの方に参加していただけたことをとても嬉しく思います。僕はいただいた手紙を全部読んでいるんですけど、この5年間で「結婚しました」「お母さんになりました」という報告もすごく多くて。「イベントが開催されても、子どもを置いていけない」というお話もたくさん聞いていたので、そういった方々だけではないですけど、今回は様々なみなさんに配信でも観ていただけたんじゃないかなと思っています。なので、この機会をターニングポイントとして、より色づいていく日々を願って、僕はもっともっと駆け抜けていきたいなと思います。またこんな機会があったら嬉しいですし、そのときにレベルアップして、もっと素敵な空間にできるように。音楽や写真、まだないアイデアがより広がって、面白いものが作れているかもしれないので、楽しみにしていただきたいです。ぜひまたお会いできますように。そして、一緒に駆け抜けていきましょう。

(取材・文=nakamura omame)

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