天皇陛下も愛したカレー、登山客向けに再現 考案の108歳「また丹沢に食べに」

平野ハツさんのレシピが再現され、登山客を癒やす「丹沢ロイヤルカレー」(ヤビツ峠レストハウス提供)

 23日の天皇誕生日に、浩宮殿下時代の遠い日の交流を懐かしむ秦野市最高齢の女性がいる。料理研究家の平野ハツさん(108)は42年前、丹沢をお忍びで登山された浩宮さまに提供したカレーを考案した。お代わりもしたという“逸品”は、ヤビツ峠レストハウス(同市寺山)で再現され、「丹沢ロイヤルカレー」として登山客に親しまれている。平野さんは「おいしいでしょ。私が元気なうちにまた陛下に食べに来ていただけたら」とラブコールを送った。

 1982年11月、浩宮さまが丹沢山の「みやま山荘」を訪れる際、夕食としてカレーが用意できないかというオファーが山荘の代表・岩田傳三郎さんにあった。そこで市内の料理研究家として活動していた平野さんに白羽の矢が立った。「断る理由もないし、うれしかった」と振り返る平野さん。チキンや英国風、炊き込みなど多様な種類を研究していたが、長所を凝縮させたものを浩宮さまへのカレーとして作り上げたという。

 長男の義燿(よしあき)さん(86)は「地元の野菜やリンゴ、スパイスなどを煮込んだチャツネ(ソース)が特徴。英国帰りの外交官夫人から習ったり、有名な先生に師事したりしていた」と説明する。孫に当たる有恒(ゆうこう)さん(55)や登山仲間らと48人分のカレーを担いで山荘まで運んだ。浩宮さまと撮影した1枚は今でも一家の宝だ。

 「平野家のカレー」として身内だけで受け継がれてきたが、2021年3月に同レストハウスを有恒さんら合同会社丹沢MONが運営することになり、その目玉として再現することになった。

 「自分にとっても思い入れのあるカレー」(有恒さん)は、今でも平野家秘伝のチャツネを使用。祖母のレシピをベースに、地元産の無農薬レモンや三元豚などを使用した本格派となっている。

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