職員へのパワハラやセクハラに「きっちり対応」 奈良県生駒市がハラスメント防止条例制定へ

【ハラスメントの有無を調査する審査委員会を設置】

 奈良県生駒市は22日、職員に対する市長や議員ら特別職、他の職員によるハラスメントを防止する条例案を、市議会の3月定例会(3月5日開会)に提案すると発表した。相談などがあれば外部委員らで組織する「ハラスメント審査委員会」(5人以内)がハラスメントの有無について市長に答申する。制定されれば県内自治体では初めて。記者会見で小紫雅史市長は、「きちっと調査し、そうした事実があったのか、条例に明記された審査委員会でしっかりと調査してもらう。私自身も対象。襟をただしたい」と述べた。

 「市ハラスメントの防止等に関する条例(案)」は、ハラスメントの防止、または疑われる事例が発生した場合の対応を定めるもの。全14条で構成され、可決されれば4月1日施行となる。

 これまで生駒市では、2020年11月から人事課に「懇話会」を設け、市の「相談窓口」にハラスメント等に関する相談があれば、必要に応じて意見を聞くなど対応してきた。懇話会の委員は学識経験者、弁護士、行政経験者、社会保険労務士の4人。

 これに対し、審査委員会は条例で定められた付属機関の位置付け。市長の諮問を受け、ハラスメントの有無について答申を行う。

【マタハラなども対象】

 条例案は、ハラスメント防止と、発生した場合の適切な対応を定めており、パワーハラスメント(パワハラ)▽セクシャルハラスメント(セクハラ)▽妊娠や出産、育児または介護に関するものなどを理由に、職員に精神的、身体的苦痛を与えた場合―に適用。「市長等、議員及び職員はハラスメントをしてはならない」(第4条)とハラスメント禁止を定め、市長は「職員の意識啓発、知識の向上、さらに勤務環境の確保するため必要な措置を適切に講じる」(第6条)などとしている。

 ハラスメントを受けたと感じた職員は「ハラスメント相談窓口」を通じ、市長に調査を申し出ることができる。

 市長は「ハラスメント審査委員会」に調査を諮問。ハラスメントがあったのか、答申を受ける。この過程においては、当事者等のプライバシーに十分配慮し、相談を行った職員が職場で不利益を受けることがないよう留意する。

 小紫市長は「必要に応じて懲罰委員会も開くことになる」と説明。これまでにも、ハラスメントを理由に懲罰委員会が開かれた事例が本年度1件あったという。「条例化に向けた動きは、実際そういう問題が起きた自治体が取り組むということが多い。生駒市の場合は、条例化によりハラスメントにはきっちり対応するという姿勢、決意を示したということ」とした。

 ただ、カスタマーハラスメント(カスハラ)に関しては「場合によって(市民から)不当要求を受けるということもあるかもしれない。いつから、という話ではないが、検討はしないといけない」と述べるにとどめた。

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