NY市場サマリー(22日)S&Pとダウ最高値、ドル小幅安 利回りおおむね上昇

<為替> ドル指数が下落。ただ3週間ぶりの安値からは下げ渋り、小幅な下げにとどまった。米連邦準備理事会(FRB)の利下げ開始時期を探る上で新たな経済指標待ちとなっている。

ステート・ストリート・グローバル・マーケッツのシニアマクロストラテジスト、ノエル・ディクソン氏は、米経済が他国と比較して相対的に堅調に見えることがドルの追い風になっている可能性が高いと指摘。ただ、最近のドル高を受け「一部のドル強気派には明らかに買い疲れがある。ドルが動意づくには新たなデータが必要だ」とした。

ドル指数は0.03%安の103.95。一時103.43と2月2日以来の安値を付けた。

来週発表される個人消費支出(PCE)がFRBの金融政策を占う次の重要な指標になる可能性がある。

また、ディクソン氏によると、米国より先に利下げに踏み切る可能性があるカナダやオーストラリアなどの通貨安もドルを下支えしているという。

ユーロ/ドルは0.03%高の1.0820ドル。一時2月2日以来の高値となる1.0889ドルを付けた。S&Pグローバルがまとめた2月のユーロ圏のHCOB総合購買担当者景気指数(PMI)速報値は48.9と、前月の47.9から上昇し市場予想を上回った。

ポンド/ドルは0.17%高の1.2656ドル。2月の英総合PMI速報値が53.3と、月の52.9から上昇し9カ月ぶりの高水準となったことを受け、一時2月2日以来の高値となる1.2710ドルを付けた。

ドル/円は0.17%高の150.53円。

暗号資産(仮想通貨)ではビットコインが0.13%高の5万1467ドルだった。

NY外為市場:[USD/J]

<債券> 不安定な取引の中、国債利回りがおおむね上昇した。経済指標で経済が引き続き安定していることが示され、連邦準備理事会(FRB)による利下げは6月か、それ以降にずれ込むとの見方が改めて裏付けられた。

終盤の取引で10年債利回りはほぼ横ばいの4.325%。30年債利回りは3.2ベーシスポイント(bp)低下の4.4599%。

一方、2年債利回りは5.9bp上昇の4.712%。

FHNフィナンシャル(ニューヨーク)のマクロ・ストラテジスト、ウィル・コンパーノール氏は「きょうはかなり狭い範囲の取引にとどまった」としている。

この日発表の経済指標では、労働省発表の2月17日までの1週間の新規失業保険申請件数(季節調整済み)が1万2000件減の20万1000件。予想外に減少したことで、雇用が引き続き堅調に伸びていることが示唆された。

全米リアルター協会(NAR)発表の1月の米中古住宅販売戸数(季節調整済み)は年率換算で前月比3.1%増の400万戸と昨年8月以来、5カ月ぶりの高水準となった。

こうした中、FRBは利下げを時間をかけて決定するとの観測を裏付ける当局者の発言が相次いだ。

ジェファーソンFRB副議長は、経済がおおむね予想通りに推移すれば「年内に引き締め政策の緩和を開始することが適切となる公算が大きい」と指摘。同時に、見通しへのリスクとして、堅調な個人消費や外的な衝撃を挙げた。

フィラデルフィア地区連銀のハーカー総裁は、FRBの金融政策の次の動きは利下げになると言及。ただ「拙速な利下げが最大の経済的リスクになる」とし、利下げは適切な時期に行う必要があると強調した。

金利先物市場では現在、FRBが6月に利下げに着手する確率が66%であることが織り込まれている。前日時点では75%だった。

米金融・債券市場:[US/BJ]

<株式> ダウ工業株30種とS&P総合500種が終値で最高値を更新した。半導体大手エヌビディアの好調な業績と見通しを受け、グロース株やハイテク株の買いが膨らんだ。

1日としては、S&Pは13カ月ぶり、ナスダック総合も1年ぶりの大幅な伸びを記録した。

エヌビディアは16.4%高。時価総額は2770億ドル拡大し、1日の増加としては米金融市場で史上最大規模となった。

エヌビディアが21日引け後に発表した第1・四半期(2─4月)の売上高見通しは前年同期比約233%増と、市場予想を上回った。人工知能(AI)向け半導体への需要拡大を見込んだ。第4・四半期(2023年11月─24年1月)の売上高は221億ドル。市場予想の206億2000万ドルを7%上回った。

ナティクシス・インベストメント・マネージャーズ・ソリューションズのリードポートフォリオストラテジスト、ジャック・ジャナシェヴィッツ氏は、エヌビディアの決算が市場での高い期待を上回り、最近の急騰後もなお一段高となる余力が残っている可能性を示したと述べた。

S&Pの主要11セクター中10セクターが上昇し、情報技術が4.4%高で全体の伸びを主導した。公益は0.8%安で唯一下落した。

グロース株は3.3%高と、1日としては2022年11月以来の大幅な伸びを記録した。

AI関連銘柄はエヌビディアの上昇に追随。エヌビディアと競合するアドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)、サーバー関連製品を手がけるスーパー・マイクロ・コンピューター、半導体設計大手アーム・ホールディングスは4.2─32.9%高。

フィラデルフィア半導体指数は5%高と、昨年10月以来の伸びとなった。

アルファベット、マイクロソフト、メタ・プラットフォームズなどの大型ハイテク株も1.1─3.9%高。

そのほか、バイオ医薬品会社モデルナは13.5%急伸。23年第4・四半期は予想に反し黒字を確保した。

米取引所の合算出来高は119億3000万株。直近20営業日の平均は116億4000万株。

米国株式市場:[.NJP]

<金先物> 反落。米雇用データが堅調な経済を示唆し、トレーダーは米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げ時期を見極めるため、さらなる統計を待っている。金現物は米東部時間午後1時42分(1842GMT)時点で、0.1%安の1オンス=2022.74ドル。前日に9日以来の高値を付けた後、下落に転じた。先週の米新規失業保険申請件数は予想以上に低く、2月の雇用が堅調に推移したことを示した。

NY貴金属:[GOL/XJ]

<米原油先物> 続伸。イエメン付近で攻撃を強める親イラン武装組織フーシ派との戦闘が紅海で続いていることが材料視された。ただ、米原油在庫の大幅な増加を受け、上値は重かった。

NYMEXエネルギー:[CR/USJ]

ドル/円 NY終値 150.51/150.54

始値 150.21

高値 150.68

安値 150.22

ユーロ/ドル NY終値 1.0823/1.0827

始値 1.0857

高値 1.0858

安値 1.0804

米東部時間

30年債(指標銘柄) 17時05分 96*15.50 4.4638%

前営業日終値 96*01.00 4.4920%

10年債(指標銘柄) 17時05分 97*11.00 4.3306%

前営業日終値 97*13.00 4.3230%

5年債(指標銘柄) 17時05分 98*17.00 4.3331%

前営業日終値 98*21.75 4.2990%

2年債(指標銘柄) 17時05分 99*04.75 4.7137%

前営業日終値 99*08.25 4.6530%

終値 前日比 %

ダウ工業株30種 39069.11 +456.87 +1.18

前営業日終値 38612.24

ナスダック総合 16041.62 +460.75 +2.96

前営業日終値 15580.87

S&P総合500種 5087.03 +105.23 +2.11

前営業日終値 4981.80

COMEX金 4月限 2030.7 ‐3.6

前営業日終値 2034.3

COMEX銀 3月限 2278.4 ‐9.0

前営業日終値 2287.4

北海ブレント 4月限 83.67 +0.64

前営業日終値 83.03

米WTI先物 4月限 78.61 +0.70

前営業日終値 77.91

CRB商品指数 274.1092 +0.1023

前営業日終値 274.0069

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