ロッテ・種市篤暉「1年間投げきれる準備をしたい」進化を続ける右腕

「もちろんトータルで勝負できるように真っ直ぐだったり、変化球だったりという感じです」。

ロッテの種市篤暉に石垣島春季キャンプ中、練習試合、オープン戦で試したいことについて聞くとこのように答えた。種市は23日の楽天との練習試合の先発予定となっており、いよいよ今季の初実戦のマウンドを踏むことになる。

昨季自身初の10勝を挙げ、昨年11月の取材で「1年間通して思ったのが、シーズン中盤、終盤くらいにかけて試合の方がメインになってくる。体力回復、コンディショニングの部分が多くなってくるので、ウエイトの量も絶対落ちてきますし、その中でやっぱり筋量をキープするのがきつかったなと個人的に思いました。なので、オフシーズンに貯金を作ってシーズン前半キープしながら、後半ちょっと落としていければ良いかなと個人的に思っています」と、23年シーズンを踏まえてフィジカルをメインに自主トレを励む考えを示していた。

12、1月の自主トレを通して種市は「ウエイト的にも重量をだいぶ上げられてきていますし、体の数値も良くなっているので、そこは続けていきたいです。何が上がったと言われたら、技術面は投げないとつかないと思っているので、キャンプ、今(1月)の時期にもうちょっと色々突き詰めていければなと思います」と、1月22日の取材で話していた。

2月の石垣島春季キャンプ中の取材では「オフシーズンと変わらず、普通にトレーニングしています」と、シーズンに向けた準備を着々と進めた。

◆ 野球日記

種市篤暉というプロ野球選手を支えてきたひとつが“野球日記”だ。シーズン中は「キャッチボールの感覚でも、気づいたことは書きますし、明日やりたいことも書きますしという感じです」と日々の投球について記してきたが、開幕前のこの時期はどんなことを書いているのだろうかーー。

「2月、3月はやっぱり実戦に向けて技術を上げる期間だと思っています。今の時期に色々変えられるところは変えていきたいなと思いながらやっています」。

具体的に“変えられるところ”について問うと、種市は「フォームもそうですし、トレーニングの仕方でもそうですけど、変化できる一番の期間だと思っています」とのことだ。2月11日までの石垣島春季キャンプでの投球フォームを見ると、昨季と比べてグローブの使い方、足の上げ方を変え、投げ終わった時の左足の歩幅が小さくなった。

投球フォームだけでなく、今季に向け、130キロ台と140キロ台のフォーク、スライダーも横に小さく速いのを試し、4年前に苦手と話していたカーブも練習するなど、さらなる“進化”を目指す。とにかく“昨日よりも今日”、“今日よりも明日”と、日々野球が上手くなろうと貪欲な姿勢は新人時代から全く変わらない。こういった部分はプロ野球選手としてだけではなく、一社会人として本当に尊敬ができる。

「(シーズン開幕に向けて)もちろんベストで向かいたいですし、1年間投げきれる準備をしたいなと思います」。最高のスタートを切るための“準備”を進める。練習試合、オープン戦で出た課題や収穫点を日記に書いて、シーズンに向けギアを上げていく。

取材・文=岩下雄太

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