香炉や観音図、初公開 「陶聖」人柄しのぶ企画展 板谷波山記念館 茨城・筑西

新収蔵品を展示している板谷波山記念館=筑西市甲

文化勲章を受章した茨城県筑西市出身の陶芸家、板谷波山(1872~1963年)の新たな収蔵品を初公開する企画展「波山の技と心」が、同市甲の板谷波山記念館で開かれている。波山が地元の知人に贈った香炉や絵画などがそろい、「陶聖」と呼ばれた人柄をしのばせる。同展は3月10日まで。

新収蔵品は6点。2022年に開かれた波山の生誕150年展を機に寄贈された。

波山が親交を深めた地元の知人に贈った作品は4点。不老長寿の象徴とされる霊芝(れいし)をかたどった帯留め「氷華磁瑞芝帯止(ひょうかじずいしおびどめ)」や、中国の神話に登場する桃を描いた「仙桃(せんとう)図」、「寿」と書かれた香炉「寿字文香爐(じゅじもんこうろ)」が並ぶ。水墨画の「観音図」は、特に親しい人に日頃の感謝を込めて贈られた。

生誕150年展の来場者が祖母の遺品として寄贈した鳩杖(はとづえ)は、波山が郷里の高齢者に贈った祝い品。女性用のつえには、木肌に赤みを帯びたものが選ばれたという。国から波山に贈られた銀杯の顕彰額もあり、本名の嘉七や、当時の池田勇人首相の名が確認できる。

新収蔵品のほか、波山が明治から昭和に制作した花瓶や香炉、妻まるの刺しゅうの絵など25点も見られる。同館学芸員の橋本空樹さん(27)は新収蔵品について「波山が何を作り、どんな人に贈ったのか。波山の行動を知る手がかりになる」と話している。

問い合わせは同記念館(電)0296(25)3830。

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