中部経済界にも波及 高級時計や金製品 売り上げ好調

 年初からの株式相場の上昇による資産効果などを受けて、名古屋市内の百貨店や専門店では、高額商品の売り上げが増えているようだ。地場証券会社では、新NISA(少額投資非課税制度)を追い風に口座の新規開設が伸びている。

 ■200万円の旅行完売

 松坂屋名古屋店(名古屋市中区)の旅行センターを訪れるお客の9割以上は外商客。株で資産運用する富裕層も多い。「海外のクルーズ船旅行が特に人気」(広報)だ。1月初旬に販売開始した1人200万円以上のクルーズ旅行(アラスカ/カナダ、13日間)は、10人分用意したが、1カ月程度で完売したという。

 名古屋栄三越(名古屋市中区)で昨年12月26日~1月9日まで開催した「金製品フェア」では、干支(えと)置物辰(165万円)が期間中に4点売れた。60代以上の客が購入したようだ。

 中古品流通大手のコメ兵(本社名古屋市)が運営する「KOMEHYO名古屋本店」では、株価がうなぎ上りだった1月1日から2月21日までを調べると、「ロレックス」「カルティエ」「ウブロ」など100万円以上の高級腕時計の売上高(国内客のみ)が前年同期比1.4倍、売上点数が1.5倍だったという。

 一方、今年から始まった新NISAに伴い、キャンペーンやラインアップ拡充などを進めてきた地場証券各社。「昨年と比べて新NISA口座の開設割合は拡大している」(木村証券)。日経平均株価の最高値を受け、さらなる追い風を期待する。

 ある地場証券では、最高値更新で、全社員に祝い金を出したという。

 ■中部財界も歓迎

 名古屋商工会議所の嶋尾正会頭(大同特殊鋼相談役)は「株価上昇は国内企業価値の上昇や株主利益が増えるなどの相乗効果も期待でき、大変喜ばしいことだ」と歓迎のコメント。中部経済連合会の水野明久会長(中部電力相談役)は「株価は景気の先行指標でもあり、心理面にもポジティブな影響を与える点では好ましいものと受け止めている」。加えて「株価の動向に一喜一憂することなく、官民が一体となって真のデフレ脱却を完遂することが先決だ」と強調した。

 中部経済同友会の天野源之代表幹事(天野エンザイム社長)は「日本企業の長年の努力の結果であり、大変喜ばしいことと思う」とコメントした上で「日本経済の発展のためには、実体経済もさらに高めていかなければならない」と指摘。「国内外にとって魅力のある投資市場となるよう、気を引き締めていく必要があるだろう」と訴えた。

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