大分市の名物店「アイビー」跡にまんじゅう店 薬師寺さん「地域に根付いた店に」【大分県】

店主の薬師寺豊子さん(右)、長女の平野優希さん(左後方)=大分市猪野
手作りのまんじゅうやシフォンケーキ、クッキー
1月にオープンした「あずき屋」=大分市猪野

 【大分】大分市猪野の薬師寺豊子さん(71)が手作りまんじゅう店「あずき屋」(猪野)をオープンした。昨年6月、同所にあった名物店「おやつの店アイビー」の閉店を知り、店主の相川カズヱさん(88)=同市花園=に「同じ場所でやらせてほしい」と手を挙げた。70代で開業という夢を実現した。

 薬師寺さんは30歳ごろから趣味で和菓子や洋菓子作りを習い始めた。ライフワークとなり、「いつか自分の店を持ちたい」という夢を抱いた。昨年6月、高齢になった相川さんが23年目で閉店するという本紙記事を読み、同7月1日に店を訪ねた。

 師匠と仰ぐ相川さんから「私の味にこだわらず、自分の味を出しよ」と助言を受け、開店準備を進めた。北海道産の小豆を使ったあんこにこだわり、試作を重ねた。「まんじゅうは奥が深い。日によって膨らみ方が違う」と試行錯誤の毎日だという。

 1月22日のオープンから好調な売れ行き。蒸し立てのイーストまんじゅう、炭酸まんじゅう、ゆでもち(各1個税込み140円)を計90個出すと、早ければ1時間ほどで売り切れるという。店頭にはシフォンケーキやクッキーも並べている。

 長女の平野優希(ゆき)さん(41)が店頭で販売を担当する。薬師寺さんが思い切った背景には、夫の明(あきら)さん(76)と2人で晩年、張り合いのある生活を送りたいという願いもあった。明さんも店を手伝い、生き生きとしているという。

 相川さんは「頑張ってほしい」とエールを送る。薬師寺さんは「相川さんのあんこに似ているといわれることがうれしい。今後は季節感のある新商品の開発にも取り組み、地域にしっかりと根付いた店にしたい」と話した。

 営業日は木曜~日曜。営業時間は午前8時~午後3時。問い合わせはあずき屋(097.527.2461=予約可)。

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